ハノイの路上では、井戸水をラベルのない容器や有名ブランドを模したラベルを付け容器に入れた"ミネラルウォーター"が数十種類も売られている。買う側もこれらの水が正規のミネラルウォーターでないことは承知しているが、正規品の4~5分の1という価格設定が受けて売れ行きは好調である。
通常これらの水の生産は民家を改造した小さな工場で行われており、5000~6000万ドン(約35~43万円)あれば設備を揃えることができるという。しかし、当然ながら最新の設備で徹底した品質管理基準に基づいて生産される正規のブランドのミネラルウォーターとは違い、これらの水には衛生面で不安が残る。殺菌のために多量の薬品を混入しているケースもあり消費者の健康への影響が懸念されている。
ハノイ市場管理支局のズック支局長によると、「これらの水の生産者は摘発を受けても、工場の場所を代えて生産を続けることが多いため、一掃するのが難しい」と話している。また、保健省食品衛生安全局のチャム副局長は、「先ごろ行われた調査で実に20%もの食品や飲料の生産工場が安全基準を満たしていなかったことを重く受け止め、生産者と消費者の両方に食の安全に対する意識の改革を促す必要がある」としている。