東南部ビンズオン省やホーチミン市では、恋人に逃げられた女性が即席の偽花婿を相手に偽装結婚式を挙げるという、にわかには信じがたいケースが増えている。
ビンズオン省に住むハ・ヒエップさんは隣の部屋に住む大学生と恋に落ち、数年間同棲した。妊娠したことが分かると恋人は失踪した。しかし、北中部ハティン省に住む両親を落胆させたくないと偽装結婚を決心した。彼女は式場で初めて会った若くハンサムな偽花婿とのツーショット写真を生まれてきた息子に見せて、「パパは遠くでお仕事しているの」と話している。
同省のフオンさんも同様で、大学卒業後ホーチミン市の貿易会社に就職。すぐに社長と恋愛関係になった。しかし妊娠が分かると、社長は彼女を解雇。中絶したくなかったフオンさんは、両親の社会的体裁を傷つけたくない思いもあり、やはり偽装結婚を決心。披露宴では偽花婿に100万ドン(約5300円)、親せき役の招待客数人に200万ドン(約1万1000円)を払った。フオンさんの両親は披露宴で、娘が都会の男性に嫁ぐ姿を見て安心。偽装結婚式は成功に終わった。
一方、偽花婿を演じるファン・ホアン・ランさんは大学生。式場でウエイターのバイトをしている時、この仕事をすすめられた。稼いだお金は学費に充てているという。ランさんは「偽装結婚する女性は、地方から出てきた工場労働者が多い。女性同性愛者が両親を安心させるために式を挙げる場合もある」とし、「もし自分の未来の妻が、僕の写っている結婚記念写真を見たらどうなるだろう」と不安そうに語った。