ホーチミン市内に住む高齢女性2人が、10月中に立て続けに振り込め詐欺被害に遭っていたことが明らかになった。2件の被害総額は126億VND(約5900万円)に上る。同市警察は、東北部地方ランソン省警察と協力して捜査を進めている。

　同市1区在住のD.T.T.さん(80歳)は10月13日、ベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)ボーバンタン出張所の窓口で、ロック・ティ・タムという名義で同行ランソン支店に開設されている銀行口座に10億VND(約470万円)を振り込む手続きをしようとした。振り込め詐欺を疑った銀行員が注意喚起をしたがD.T.T.さんは信じず、別の出張所から振り込みをした。そこで銀行員は同市警察の汚職・経済犯罪捜査課(PC46)に通報し、同課は銀行と協力しこの口座を凍結すると同時にD.T.T.さんに事情聴取を行った。

　それによると、D.T.T.さん宅の固定電話にハノイ市警察幹部を名乗る人物から電話があり、捜査中の事件にD.T.T.さんの所有しているお金が関与しているかを確認するため、指定口座への現金振り込みを指示されたという。D.T.T.さんは事件関与に覚えがなかったが、振り込みを拒否すれば逮捕されると言われたため、子供たちに迷惑がかかることを恐れ数回に分けて合計60億VND(約2800万円)を振り込んだ。

　同市5区在住のN.N.T.さん(79歳)もまた、10月19日にハノイ市警察のチャン・クオック・トゥアン中尉、グエン・バン・ニャット中佐を名乗る人物から電話を受け、N.N.Tさんが所有している金が捜査中の詐欺グループと関連がないかを確認するために指定口座への現金振り込みを指示され、同日と10月21日に合計66億VND(約3100万円)を振り込んだ。

　ホーチミン市警察は11月4日、顧客に対し振り込め詐欺の注意喚起や警察に通報をしたBIDVボーバンタン出張所を表彰した。また同市警察は、同様の被害に遭った人は最寄りの警察に相談するよう呼び掛けている。