ハノイ市選出の元国会議員 兼 不動産開発会社ハウジング・グループ元会長のチャウ・ティ・トゥー・ガー被告(女・52歳)が不動産物件の購入者から金銭を騙し取った事件で、ハノイ市人民裁判所は16日、詐欺・資産横領罪に問われていた同被告に終身刑の判決を下した。
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ハウジング・グループの元副社長や経理部長など、共犯として同被告に手を貸した9人も執行猶予付き禁固36か月~禁固7年の判決を言い渡された。また、同社およびガー被告は、物件購入者501人に代金の返還を命じられた。
このうち、同社は1870億VND(約9億3000万円)、同被告は540億VND(約2億6700万円)をそれぞれ負担する。同社と物件購入者との間で締結された契約は違法とされ、返還される資金は利息が付かないものとする。
起訴状によると、ハウジング・グループはガー被告の指示のもと、設計案や建設許可証などの所定手続きを完了せず、認可を受けていないもかかわらずハノイ市ナムトゥーリエム区カウジエン街区でマンション・一戸建て住宅区案件「B5カウジエン(B5 Cau Dien)」を実施するとして物件を発売した。
物件購入者が出資する形で物件を購買することは法律で認められるが、投資主は基礎工事を完成させてからでないと物件購入者から資金を調達してはならないと規定されている。しかし、同社は所定の手続きも基礎工事も完了していないにもかかわらず、2009年から2013年までの間に物件購入者から3770億VND(約18億7000万円)を調達した。
2015年に購入者へ物件を引き渡す契約だったが、工事は手付かずの状態で、契約不履行により購入者は同被告に代金の返還を求めたが応じられなかった。
同社はさらに、ウェブサイトに同案件の法的根拠などに関する虚偽の情報を掲載するなどして購入者を騙した。同裁判所はこうした行為が十分に詐欺・資産横領罪に当たるとの見解を示し、同被告に重い刑を下した。
なお、同被告が調達資金の一部を「国会議員の職の購入」に使用したとの供述について、捜査当局は別の事件として立件し引き続き捜査を進めている。ベトナムでは、国会議員の不逮捕特権があり、逮捕には国会または国会常務委員会の同意が必要だ。同被告は国会常務委員会の決定により国会議員資格をはく奪されたことで、逮捕・裁判に至った。