英国テムズ川沿いのパーフリート港で23日未明、ベルギー・ゼーブルッヘ港より到着した冷凍コンテナ内から39人の遺体が見つかった事件で、複数のベトナム人が犠牲になった可能性が高いことが判明した。
(C) vnexpress |
英警察は当初、「39人の遺体はすべて中国人密航者とみられる」と発表したが、27日夕方までにベトナム北中部地方ゲアン省と同ハティン省の24世帯が「事件の日から英国への密航を試みた家族と連絡が取れていない。問題の冷凍コンテナで死亡した可能性が高い」として、地元当局に届け出た。
冷凍コンテナの中で死亡した1人とみられるP・T・T・Mさん(女性・26歳)からは、23日午前4時28分(英国時間10月22日午後10時28分)に、ハティン省に住む母親の携帯電話へ「パパママ、本当にごめんなさい。海外渡航は失敗した。息ができなくて死ぬ」との内容のメッセージが送られた。
Mさんは密航の手数料として密航支援業者に3万ポンド(約420万円)を支払い、中国とフランスを経由して英国に向かっていた。彼女は最近まで3年間にわたって日本に出稼ぎしていたという。
ベトナム警察は、DNA鑑定のため、死亡したとみられるベトナム人密航者らの両親などの毛髪や爪のサンプルを採取した。ベトナム外務省も、在英国ベトナム大使館に対し、現地警察と協力して情報を確認すると共に、死亡者らの遺体の収容・搬送などの援助を行うよう指導している。
この事件についてグエン・スアン・フック首相は、組織的な不法出国支援の形跡があるとして、関連当局に対して捜査を指示した。
2018年12月には台湾でベトナム人観光客148人が行方をくらます事件が起きたほか、同月にベトナムの国会議長が韓国を訪問した際にも政府専用機に同乗していたベトナム国籍の9人が同国で失踪するなど、不法出国事件が相次いでいる。