ハノイ市で建設中の同市都市鉄道(メトロ)3号線(ニョン~ハノイ駅間)の工事現場周辺で地盤沈下が起きており、地下区間4kmの沿線にある民家計50軒が、壁のひび割れや家屋の傾きなどの深刻な被害を受けている。
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被害が出ている50軒のうち、7軒は地盤沈下の影響が深刻で、家屋の取り壊しを余儀なくされ、残る43軒も倒壊の恐れがあることから、住民が避難勧告を受けている。
工事の影響が出始めたのは2019年からのこと。ハノイ市メトロ管理委員会(MRB)はこれまでに、影響を受けるエリア内の建築物約3000軒の現状を調査し、リスクを評価した。
ただし住民らによると、調査結果や避難勧告はあるものの、建物の安全性を確保するための補強工事は行われていないとのこと。これには、地盤沈下の原因や補償金などについて、MRB側と住民との間で意見の食い違いが発生していることが背景にあるとされている。
これに関連し、MRB側は「メトロ3号線は民家の密集地帯を通過しているため、工事を行うに当たり慎重を期しているが、多くの建物は築年数が高く、以前から老朽化が進んでいたことも被害が大きくなった一因だ」と指摘している。
なお、メトロ3号線は全長12.5km、うち高架区間が8.5km、地下空間が4.0km。2010年に着工し、2015年に完成する予定だったが、2022年8月時点での完成率は75%程度に留まっている。進捗に大きな遅れが生じているため、投資総額は当初の2倍に当たる34兆VND(約2000億円)に跳ね上がっている。