政府監査委員会は12月29日、2014年1月1日から2018年12月31日までの期間における教育訓練分野の国家管理の調査結果を発表した。
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調査結果によると、教育訓練省は教科書の作成・編集・出版・印刷・発行をはじめとする教育訓練分野の事業投資において不適切な管理を行い、社会のリソースを浪費したと結論付けられている。
国家管理機関である教育訓練省とその100%出資子会社であるベトナム教育出版社(Viet Nam Education Publishing House)は自身の立場を悪用し、不正利益を得ていた形跡があるとされる。
教科書は、生徒に教科書内の表に直接記入させるなど再利用しにくく作成され、さらに必須ではない問題集も合わせて購入するよう誘導している。これにより、2兆3000億VND(約126億円)の浪費をもたらしたと試算される。なお、ベトナムでは使用済みの教科書を弟妹や貧困層などに譲ることが通例となっている。
また、教科書などの印刷用紙を提供する業者の選定においても不正があったとされる。政府監査委員会は調査結果を公安省に送付し、2つの違反について捜査を行うよう要請した。
これに関連し、第13期ベトナム共産党中央執行委員会(2021年~2026年任期)は12月30日、臨時会議でファム・ビン・ミン第一副首相の政治局員と党中央執行委員としての職を解任することを決定し、ブー・ドゥック・ダム副首相についても党中央執行委員を解任することを決めた。
2人の解任の理由については明らかにしていないが、2人の処分の背景には、ミン第一副首相が指導を担当する外務省、またダム副首相が指導を担当する教育訓練省と保健省でそれぞれ深刻な違反が発生したことがある。ミン第一副首相とダム副首相の2人は近く、政権でのポストを解任されることになっているが、後任者の候補は明らかになっていない。
なお、関連する違反のうち、新型コロナを背景に運航された帰国者向け特別便の認可を巡る汚職事件、ベトナム人民軍の軍医学院とベトアー・テクノロジー・コーポレーション(Viet A Technology Corporation)から成るコンソーシアムによる新型コロナウイルス検査キットの研究開発(R&D)・評価・流通認可・価格設定・購買調達に関する一連の汚職事件が、既に刑事事件として立件された。