外資系銀行での安定した高給の仕事を捨てて、ホーチミン市で和牛レストランを開業した20代の越僑女性がいる。ミラン・ゾアンさんだ。
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ミランさんはベトナム生まれだが、2歳の時に家族と共にロシアに移住した。ロシアとオランダの大学で金融と国際経営を学び卒業した後、2011年に故郷であるベトナムに戻ることを決め、ホーチミン市にある有名な外資系銀行に就職した。
友人や同僚らから「ロシア人形」のあだ名で呼ばれたミランさんは3年間、中小企業顧客管理部長の補佐として働いた。彼女にとっては、自分が起業する際の目標を定めるための期間でもあった。
「大学を卒業したての多くの学生と同様に、学習した知識を生かせる仕事をしたいと思っていました。でも中小企業の社長さん達を相手に仕事をしているうちに、自分で起業したいという思いが募ってきたんです」。ミランさんはこう振り返る。
考えたら実行あるのみ。ミランさんは銀行を辞め、和牛レストランの「女性オーナー」になる道を歩み始める。しかしビジネスの現場は、彼女にいくつもの試練を用意していた。初めの困難は場所探し。市中心部で手頃な価格の物件を探すのは容易でなく、1区ナムキーコイギア通りに店の場所を決めるまでに6か月を要した。