女優から転身、バンブー航空唯一の女性パイロット【前編】

2019/04/21 05:46 JST配信

 そこで副操縦士が飛行計画表をトゥイさんに渡すと、トゥイさんは「この数字は飛行時間と消費燃料ですよね?」と質問した。すると、この副操縦士は「この子は素質がある。パイロットになりたいと思ったことはないのか?」と微笑みながら言ったのだった。

(C) vnexpress, 2019年4月16日のフライト後のトゥイさん
(C) vnexpress, 2019年4月16日のフライト後のトゥイさん
(C) vnexpress, 客室乗務員時代のトゥイさん(前列中央)
(C) vnexpress, 客室乗務員時代のトゥイさん(前列中央)

 あまりにも急な問いかけだったためトゥイさんは一瞬ためらったが、「私は女性なので考えたこともありませんでしたし、パイロットになる勉強をするためのお金もありません」と答えた。すると機長も「心配することは何もない。私の娘だってパイロットを目指して勉強中だ。応援するよ」と励ました。

 この思いがけない言葉に、彼女の心の中で欲望が燃え上がった。以来、彼女はパイロットになるという計画を温め始めた。この目標のためにはまず資金が必要だった。彼女は給料のほとんど、3000~3500USD(約33万~39万円)を毎月貯めていった。

 2016年6月、女優時代の貯金と客室乗務員の2年半に節約して貯めた25億VND(約1200万円)を握りしめて、トゥイさんは夢を叶えるためベトナムに帰国した。これは、もう若くない彼女にとってリスクの高い賭けでもあった。

 多くの友人も、26歳でパイロットになるための勉強をするなんて、と心配を口にした。彼女自身も何度も思い悩んだ。「26歳の私に、勉強するのに十分な知能と健康、根気がまだ残っているだろうか、と何度も考えました」とトゥイさんは振り返る。

 チャンスは1度きり。でも、これを逃したらチャンスはもうやってこない。その夏、トゥイさんはパイロット養成校であるベトフライトトレーニング(Viet Flight Training)の6か月間の航空輸送理論コースに参加するための試験に合格した。ここでは、膨大な量の新しい、複雑な知識を学ばなければならず、彼女にとって最も過酷な時期だった。

後編へ続く

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[VnExpress 09:53 17/04/2019, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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