何度も罪を犯した悪党としての過去を背負いながら、グエン・タイン・クオン(Nguyen Thanh Cuong)さん(男性・49歳、ホーチミン市3区在住)は毎日、ホーチミン市腫瘍病院の前にトラックを停めて貧しい人々に無料で食事を配っている。
(C) thanhnien |
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クオンさんは「クオン・バー・クー(Cuong Ba Cu)」の別名を持ち、1980年代後半の悪党の界隈で名の知れた人物だった。若いころは野心的で、肝が据わっていることを証明するために盗みを働いた。当初、クオンさんは自分のことをまるで騎士であるかのように考え、何か不満を感じればすぐに強盗行為に及んだ。
強盗を繰り返すうち、盗んだものを転売してお金を得ることに歯止めがきかなくなっていった。次第に、他の盗っ人を待ち伏せして、盗っ人が盗んだものを再び盗むようになった。こうしてクオンさんの人生は犯罪に染まっていった。
「学校も辞め、家族にたくさん罵倒されました。私は、学校は嫌い、盗みが好きだと答えていました。老いた祖父は私を殴って指を折り、私のことを見捨てました。17歳のころには家も買えるくらいのお金を盗んでいたので、当時、お金を稼ぐのは何て簡単なことなんだろうと思い、学校に行ってわざわざ嫌な思いをすることに何の意味もないと思っていました」とクオンさんは振り返る。
同じく17歳のとき、クオンさんは強盗容疑で逮捕され、刑務所に入った。出所しても仕事はなく、生計を立てるために色々な方法を探した。その後、古い友人に会ったとき、友人に誘われて賭博を始めた。賭博でお金を稼ぎ、楽しんでいたのもつかの間、さらに3回も刑務所を出入りすることになった。