ベトナムに長く住んでいれば、病気になったり怪我をしてしまうことは避けられません。特に、ベトナムに来てからお腹を壊した経験がないという人は数少ないのではないでしょうか。お腹を壊せば、当然お腹が痛くなります。どうしようもなくなって病院へ行ったものの、お医者さんに「どのように痛いの?」と聞かれて、うまく説明できなかった・・・ということないでしょうか? 痛みといっても、「しくしく痛い」「きりきり痛い」など様々。痛み方で診断が変わってくる場合もあります。そこで、ベトナム語でどのように表現するのか、まとめてみました。
「痛い」のベトナム語
「痛い」をベトナム語で 「đau(ダウ)」 と言います。日本語だと「頭が痛い」場合、「頭」が主語になりますが、ベトナムのときは必ず痛みを持つ当事者が主語となり、受身で言います。例えば、「お腹が痛いです」と言いたいときは、「Tôi bị đau bụng(トイ ビ ダウブン)」となります。
>> Tôi=私、bị=受身を表す語(漢字の「被」、悪いことを被った場合に使う)、bụng=お腹
軽く痛むときは「đau hơi hơi(ダウ ホイホイ)」、「hơi hơi đau」、 強く痛むときは 「đau nhiều(ダウ ニエウ)」、「rất đau(ザットダウ/ラットダウ)」、「đau dữ dội(ダウ ズーゾイ / ダウ ユーヨイ)」などと表現します。
>> hơi hơi =少し、nhiều =たくさん、rất =とても、dữ dội =激しい
南部では痛いときに「đau」ではなく 「nhức(ニュッ)」 という単語を使うことが多いです。特に頭が痛い場合は「nhức đầu(ニュッダウ、đầu=頭)」を用いるのが一般的。体の色々な部位が痛いときに使えますが、なぜか「お腹が痛い」という場合には使いません。
それでは、様々な痛み方の表現を見てみましょう。
痛み方の表現
シクシク痛む(鈍痛)
+ Đau âm ỉ (ダウ アムイー)
持続的で鈍い痛みのときに使う表現です。「âm ỉ」は「ひっそりと」という意味。
鈍痛がずっと続くのではなく、途切れ途切れに痛む場合は、次のような表現もあります。
+ Đau râm ran(ダウ ラムラン)
>> râm ran=セミの声のようにじわじわと音が響く様子
キリキリ痛む、刺すように痛む
+ Đau nhói(ダウ ニョーイ)
何か鋭い針で刺したような痛みの表現です。単発的に痛む場合も継続的に痛む場合も使えます。
ズキズキ痛む
+ Đau rần rần(ダウ ザンザン / ランラン)
脈打つようにズキズキと痛む場合の表現です。
ガンガン痛む
+ Đau như búa bổ(ダウ ニュー ブア ボー)
脈打つように激しく痛む場合の表現で、直訳すると「斧で勢いよく切るように痛む」という意味になります。
>> như=~のように、búa=斧またはハンマー、bổ =勢いよく切る
ヒリヒリ痛む
+ Đau ran rát(ダウ ザンザッ / ランラッ)
引っかいたり火傷したりして皮膚の表面がヒリヒリするときに使う表現です。
>> ran rát=ヤケドなどで皮膚が熱く感じる
チクチク痛む
+ Đau như kim châm(ダウ ニュー キム チャム)
+ Đau như kiến cắn(ダウ ニュー キエン カン)
小さな針でチクチク刺しているような軽い痛みの表現です。直訳すると、一つ目は「針で刺すように痛い」、二つ目は「アリが噛んだように痛い」となります。ベトナムのアリは噛むんですよね。
>> kim=針、châm=刺す、kiến=アリ、cắn=噛む
揉まれているように痛む
+ Đau quặn(ダウ クアン)
内臓を手でぎゅ―っと揉まれているような、ぐるぐると移動する激しい痛みの表現です。食中毒なんかのときの痛みに当てはまると思います。
>> quặn=グルグル巻くさま
締め付けるように痛む
+ Đau thắt(ダウ タット)
ギューッと何かに締め付けられるような痛みの表現です。ひとつ前の表現と合わせて「Đau quặn thắt」と言うと、内蔵をつかまれて絞られたような更に強い痛みの表現になります。
>> thắt=しっかり結ぶ
周期的に痛む
+ Đau thành từng đợt(ダウ タイン トゥン ドッ)
まるで陣痛のように、ある一定の周期でやってくる痛みの表現です。
>> thành=成る、từng=~ごとに、đợt=複数回発生するもののひとつのまとまりを表す語
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