皆様、こんにちは!!
ホーチミン市の賃貸不動産、売買不動産を取り扱うエヌアセットベトナムの西村です。
前回まで3回にわたり地区別住宅事情を紹介しましたが、9~10月は期変わりの異動の時期にあたり、新規駐在員向けの物件紹介が多かったので、今回は番外編として、 日本と比べると「ちょっとここ違うよね、変わってるよね?」という取引慣習 について紹介したいと思います。
入居者がいる状態で内見
一部のサービスアパートメントやアパートメントでは、現在まだ住んでいる入居者が不在の場合に、事前に現入居者の承諾を取らずに内見(室内確認)を行うケースがあります。部屋探しをしていたとき、これを経験した人も多いのでは。
© N-Asset Vietnam 使用中の部屋の内見例
「あれ、部屋に色々置いてあるけど大丈夫なの? 雑誌やレトルト食品の山・・・生活臭が漂っている・・・・そもそも写真撮っていいの?」
初めての内見でこれを経験してしまうと、激しいカルチャーショックを受けるかもしれません。
特にサービスアパートでは、クリーニングスタッフが常時清掃のため室内に入ることもあり、日本のように「不在中の部屋に事前承諾なしに入ってはいけない」という感覚があまりないということにも起因していると思いますが、賃貸契約書に退去を申し出た後の新規検討客への内見を了承する旨の約束事項が記載されていることもあります。
大半の日本人は、留守中に無断で知らない人が入ってくることに抵抗がありますので、日本人利用率の高い物件では、入居中の内見を禁止していたり、必ず事前承諾を得てから内見するところもあります。
ちなみに、日本人が入居中の部屋を内見した場合に、賃貸契約まで漕ぎ着ける可能性は極めて低いです。入居者が部屋をかなり綺麗にしているのであればまだ成約の可能性がありますが、生活臭のある乱雑な部屋を内見しても、正直全く心に響いてきません。案内している私自身も微妙な気分です。結局「退去してからもう一度見たい」という話になるので、入居中の部屋を強引に内見するのも考えものです。
現在の入居者が確実に予定通り退去するか確認
日本では通常、建物賃貸借契約解除の際、解約申出書など書面により申し出ることが一般的で、記載された退去予定日を空き予定として新規募集を行います。貸主が現入居者に対して更新を行うか否かの事前確認を取らず、契約期間満了をもって空き予定としているケースはまずないでしょう。
一方、ベトナムでは、現入居者が契約を更新する可能性があるにもかかわらず、更新の意思を確認せずに、契約期間満了を空き予定として、次の入居希望者に内見させるケースが稀にあります。
そのため、入居中の部屋を内見する場合は、現入居者に退去の意思確認を行っているかどうか確認したほうが良いでしょう。また、空き予定日が後ろにずれるケースも多いので、空き予定物件への申し込みには注意が必要です。
付帯設備(家財)について
日本でも家財付きの賃貸物件はありますが、家具など何もない状態での引渡しが一般的です。一方、ホーチミンでは物件の種別によらず9割以上は家財付きで引渡されます。サービスアパートメント及びアパートメントの内装や家具には統一感がありますが、コンドミニアムタイプの場合は、貸主の趣味・嗜好で様々な内装や家具が取付けられていますので、同一コンドミニアムで全く同じ間取りの部屋であっても、雰囲気が全く違います。
© N-Asset Vietnam 同一コンドミニアムで同じ間取りでも雰囲気が全く違う
申し込みについて
以前は日本でも申し込み時に手付金を要求する業者が一部ありましたが、現在では書面での申し込みで1番早かった人が優先され、キャンセルしても特に費用が発生しないのが一般的です。
しかし、 ベトナムでは、手付金もしくは保証金を納付し、賃貸借契約を締結するまでは気が抜けません。 というのも、こちらが先に申し込んでも、貸主の知り合いから申し込みがあったりすると、そちらを優先させてしまうからです。
また、不動産仲介会社と貸主との繋がり(これまでの仲介実績の有無、懇意にしているか否かなど)によっても異なってきます。やはり、初めて取引をする貸主については、交渉が難しいところもあり、僅かな差で他の検討客に手付金をうたれてしまい、部屋を押さえることができないことがあります。
特に日系企業は、社内稟議に時間を要するケースが多いため、現地法人の代表者に決済権限を持たせるなどの柔軟な対応が必要になってきます。日本本社契約の場合は送金にも時間を要することから、不動産仲介会社で手付金の立替を行うケースもありますが、スムーズに送金を行えるよう事前に社内で調整しておくことも重要です。