ベトナムで人材紹介を行う JellyfishHR がお届けする在住日本人へのインタビュー。今回は、貿易関連の唯一の国家資格である「通関士」の資格を持つ 亀岡俊樹さん(30) です。法政大学卒業後、通関士の資格を取得。現在はベトナムで軽仮設資材リースの営業を担当されています。
国家資格を持ちながら、ただ「海外に行きたい」という一心で海外就職に至ったという亀岡さん。しかし、実際に海外に来てみて、自分自身がこの先何をしたいのか、原点に戻って自問自答を繰り返したそうです。
自分に素直に、そして直感を信じて行動したからこそ、憧れの海外の地で働き、そこでまた出会う新たな悩みと向き合う。海外就職への想いとその後の葛藤をまっすぐに話してくれました。
ひょんなきっかけから、忘れかけていた海外留学へ
―― それでは簡単な自己紹介からよろしくお願いします!
亀岡:亀岡です。よろしくお願いします。
出身は福島で、海外には高校2~3年生の頃から漠然と憧れがありました。なので、海外留学を斡旋している大学を受験したんですけど、実際に入学してみると大学生活が楽しくて、「いずれ海外に行きたい」っていう思いを忘れちゃっていたんですよね。
―― 高校生でそこまで考えていていたのに、なんで忘れちゃったんですかね(笑)
亀岡: 不思議ですよね(笑) そんな楽しい大学生活のお昼休みに友達から、「留学の説明会に行くんだけど、かめちゃんも行く?」って誘われて。その時に、そういえば留学したいからこの大学選んだんだって思い出しまして、3か月ほどカナダのエドモントっていう田舎に留学しました。
ですが、単位を落とすくらいの英語レベルで行った上に、韓国人と一緒に居たので、英語よりも韓国語覚えたりしていて。さらに人見知りなのもあって、ホストマザーとばかり一緒にいたんです。
―― それがきっかけで熟女好きに・・・
亀岡: それは後々・・・(笑) そんな感じであまり楽しめないまま3か月が終わったんですが、それがきっかけで「世界は広いんだな」って思い、バッグパッカーになるきっかけになりました。
―― バッグパッカーになったんですか。
亀岡: そうなんですよ。そこから、バスでアメリカ横断したら面白いなって思って、地元の友達を誘ってニューヨークからロサンゼルスまで約8000kmを1か月かけて横断しました。
そのアメリカの経験があって、自信がついちゃったんですよね。英語ができなくても、いろんな人と交流して、そこから刺激を受けて、単純に楽しいなって思うようになったんです。
その後は自転車で福島から鹿児島まで行ったり、船で中国まで行ってそこからチベット地方やネパール行って、標高5550mをトレッキングしたり・・・
―― ベタだけど富士山より高いじゃないですか!
亀岡:そうですね、高山病で大変でした(笑) その時は後々考えずに、直感で面白そうだなって思ったものをやってみましたね。今となってはいい思い出です。
―― トータルでいくらくらいかかりました?
亀岡:約4か月で50万円くらいですかね。途中飛行機移動とかスキューバダイビングの免許を取得したりで贅沢もしたので。
旅していたら世界一周している日本人のカップルに出会ったんですよ。二人ともアメリカで働いた後、日本に帰る前に1~2年かけて世界を周っていて、もちろん英語もペラペラで、単純にかっこいいなって思ったんですよね。
―― 結構そういう人たちいますね。
とにかく「海外」へ行きたかった
亀岡:日本帰ってから自分は日本の会社で働いていたんですが、頭の片隅に「あの人たちみたいに海外で働いて、英語で話しながら色んな人と交流できたらいいな」って思ってて、でも今の仕事も大事で。
たまたま仕事が専門職で難しいと言われている資格があったので、この資格が取れたら今の仕事を辞めようって思ってたんですよね。4年目にして取れたので、これを区切りに次は海外だなって思って転職活動を始めて、今の会社に決まったんですよ。
―― ちなみにその資格は?
亀岡: 貿易関連の唯一の国家資格「通関士」 ってものなんですけど。
でも、海外に来たいっていう一心で、業界も何も調べずに来て、実際に働いてみると、海外に来ているという点では満足していて楽しいんですが、仕事内容だったり今後の将来のこととか考えるわけですよ。
―― なるほど。亀岡さんは、仕事してる中で海外に行くという選択をしたと思うんですよ。その時の葛藤とかあれば話していただきたいなと。
亀岡:日本の会社に就職して2か月くらいで、やっぱり 海外行きたいなって思った んです。でも、 行きたいなって思っても行く手段もないし、お金もないしどうしていいかわからなくて。
―― 海外に行きたいと思っている多くの人が同じ状況だと思います。
亀岡:そんな中で、先ほど話した通関士の資格を取るという目標と、海外に行きたいって思いが同時進行していたんですよね。
で、その当時付き合っていた彼女がいたんですけど、こんなに人を好きになるんだってくらい好きだったんです。
―― いい話ですね~
亀岡:ずっと一緒にいたいなって思いながらも海外に行きたいなって思いもあって、ある時向こうから「私は結婚したいんだけど、あなたはどうなの?」って言われて。
――何歳のときですか?
亀岡:26ですかね。その人とずっと一緒にいたいなとも思ったんですけど、それ以上に海外に行きたいって思いがありすぎて、「俺はやっぱり海外に行きたいから今結婚は考えられない」って話をして、1回別れたんですよね。
―― 切ない!
亀岡:その後、区切りにしていた通関士の資格も取り、転職活動も上手くいき、海外に行けるぞってなった時に、やっぱり彼女が忘れられなくて、「俺と一緒に海外来てくれないか」って伝えたんですよ。
―― そしたら・・・?
亀岡:「実は私、先月結婚したんだよね」って言われて。
―― なんとー!! 別れてからどれくらいの話ですか*
亀岡:10か月くらいかな。結婚までしちゃってたら、もうしょうがない、俺は海外で頑張るしかないって思いで、ハノイに来ました。
海外に来てから気づいた「Why ?」の重要さ
―― 彼女のこともさることながら、会社を辞めるとき葛藤とか無かったですか?
亀岡:「辞めるつもりだ」って言ったときに上司は、「辞めるのはいいけれど、 ただ海外に行きたいってだけじゃなくて、向こうで何したいのかまで、もっと将来について考えろ」 って言ってくれたんですけど、当時の自分は海外に行きたい思いが大きすぎて、それまでの過程をあまり考えずに、どうしたら海外行けるかっていう方法しか考えてなかったんですよ。
でも運よく転職が決まって、実際にハノイで働き始めてから、 海外に来るのはただの手段で、もっと目的だったり、「Why ?」の部分を考えてかなきゃいけないんだなって気づいた んですよね。
―― どこの時点で気づいたんですか?
亀岡: 実際に全く違う業界、業種である今のところで働いたときに、今まで海外に行くっていう目的だけで来たけれど、来てから自分に何ができるのか、自分は何がしたいのかってことを考えざるをえなくなったわけですよ。
そこから毎日なかなか寝れず(笑) 毎日自問自答しながら 一生自分がしていきたいことってなんなのかっていう原点に戻った わけです。
その時に、やっぱり自分は海外で働きたいっていうのが今後も変わらずあって、それと いろんな人と出会って交流して刺激を受けて、見聞を広げて自己成長につなげていきたい っていうのがあって、改めて自分の原点を考えるきっかけを得ましたね。
自分に素直に、直観を信じて行動してみる
―― 今まで「海外に行きたい」っていうのが目的だったけど、今は来てみた本人になれましたからね。
海外に行く前の人たちに向けた本とか記事に、「海外で行くのはあくまで手段で、行って何するかが重要だ」っていうの書いてあったりするけど、行く前にこういう理由があるから行きたいって決めないといけないとなると、ハードルが高くなると思うんですよね。
亀岡: しかも、わからないですよね。
―― そう、行ってみて初めて、「あ、だから目的持った方がいいって言われてたのか」とか、「人と交流するのが面白いなー」とか感じると思うし、 行く前から目的を探せとか決めて行けっていうの、反対です。ほんとうに無理だと思う。
亀岡: 僕もそんな感じで、 わからないけど単純に海外来たかった。 でも、来てみたら自然と考えなきゃいけないし、考えざるを得ない。
―― それに、来てから考える方が判断材料も多いから、自然に即してると思う。
亀岡: しかも周りの雑音もなく考えられますし。
―― そうそう。行く前に考えなきゃとか思うと、行くことを周りに言った時、「そんなの意味あるの」とか色々言われる。もう、勘弁してくれよ!って。
亀岡: 実際来てみると、同じような考えの人が周りにいっぱいいるから、励まし合ったり、それぞれのバックグラウンドも面白い人が多くて、刺激を受けたりしますね。
―― 亀岡さんもいろいろなバックグラウンドがあってベトナム来たと思いますが、これから海外に出たいなって思ってる人に対して、何か一言ありますか?
亀岡: 「やらない後悔よりやった後悔」っていうのはよく言う言葉ですが、 自分に素直に、直感でもなんでも、どこかで「海外に行きたいな」って思いがあるなら行ってみたらいいと思いますね。
―― すばらしい。
亀岡: 就職のこととか不安に思うこともあるかもしれないけど、やる気や情熱があったら仕事って意外と見つかっちゃうし、日本にいると「○○歳以上は転職が難しい」とか色々言われるけど、一歩外に出ると意外とそういうのって感じられないです。
―― そうですよね。あと、先人たちの通ってきた道は素晴らしく、どこの国に行っても日系の人材紹介会社ありますもん。本当になにもできなくても食べてはいける。
それに、相対的に見たら日本より給料は良いと思います。ベトナム人の月給が5万~6万円なのに、15万~20万円もらえると、日本で60万円くらいもらってるのと同じですからね。
亀岡さん、ありがとうございました!!
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このインタビュー記事は、 ジェットスターラジオ とのコラボ企画によるものです。ジェットスターラジオによるインタビューの模様はこちら↓
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