以前に、 ベトナム人の転職の実情 という内容でお話しましたが、ベトナム人が就職や転職する際の基準では「給与」「福利厚生」など条件面を中心に考慮することが多いです。では、実際に働く中での 仕事の満足度 は何から得られるのでしょう。実は、仕事の満足度と上司への満足度は大きく関係性があります。今回は、 ベトナム人会社員の好きな上司、嫌いな上司 について調べてみました。
※ベトナム人フルタイムワーカーの20代男女1149名を対象に調査しました。
上司への満足度は?
データを見てみると、上司に「とても満足」、「満足」していると回答している人の中では、 仕事にも満足している人が7割以上 となっています。
このように、「上司への満足度」と「仕事への満足度」が相関関係にあるのがわかります。実は給与に満足していても、残業時間が少なくても、 上司といい関係を築けていない社員の仕事に対する満足度は低い 傾向にあります。
やっぱり人気は「頼れる上司」
それでは、どのような上司をベトナム人の20代の若手は求めているのでしょうか?
特に人気のある上司像は、社員の意見を良く聞き、責任感がある人物 です。上位に選ばれた選択肢をみてみると「人の意見を聞く」「責任感がある」「公平な評価を下す」といった 頼れる上司像 が浮かんできます。
ベトナム人は自分の意見を人前で発表することを恥ずかしがる傾向にあり、また多くのスタッフを抱えているとそれぞれの意見に耳を傾けることは大変です。しかし、コミュニケーションをしっかりとること、また何か問題があった時に頼れ、的確な判断が下せることなどが重要な要素になってきます。
感情的な上司が最も不人気
一方で、人気のない上司の傾向としてはその逆の 「感情的」「人の意見を聞かない」「不公平な評価をする」 が挙げられます。
ベトナム人にとって、 感情的になることは、大人になっても自分をコントロール出来ない恥ずかしいこと だと考えられ、また、プライドが高い彼らは人前で怒られると反対に腹を立ててしまい、反省を怠るため機能的とも言えません。社員が何か失敗を犯しても感情的になって叱りつけるのではなく、冷静に何がいけなかったのか、これからどうしてほしいのかを説明するのが効果的です。
また、 自分の実績を重視するベトナム人は、不平等に評価されることをとても嫌います 。「自分の給与はパフォーマンスに比べて低い」と考えている社員が4割いるなど、どうしてもそれぞれが自己を過大評価する傾向にあり、評価を行う段階でギャップが生まれます。このギャップを埋めるためには、より多くのコミュニケーションやフィードバックの機会を設けることが有効です。
さらに、日本企業の上司はベトナム企業と比べると、概ね「人の意見を聞く」「責任感」などの項目は高い一方で、コミュニケーションの不足から「公平な評価が得られていない」と感じているベトナム人も少なくないようです。