「1番の理由は、ただ単純に超絶ワクワクしたから」徳永拓哉さん / IT企業勤務

2019/04/22 10:20 JST配信

べトナムで人材紹介を行う JellyfishHR がお届けする在住日本人へのインタビュー。

今回のべトナム就職者談は、IT企業に営業スタッフとして勤務をされている徳永拓哉さんにお話をお聞きしました!

もともと海外には全く興味を持っていなかった状態からベトナム就職をして、これまで約1年半ほどベトナムで勤務をされています。ベトナムで就職をすることになったきっかけやベトナムでの仕事・生活面のことなどについてお話いただきました。

サッカー漬けの日々から新卒での就職まで

– 早速ですが、自己紹介をお願いします。

徳永:はい、徳永と言います。今は27歳で、ベトナムに来てから1年半ほどになります。日本のリクルートキャリアという会社で転職斡旋の法人営業として3年半ほど働いてから、ベトナムで就職をしました。ベトナムに来て1年ほどで転職をしたので、今勤務している企業はベトナムで2社目になります。

– 新卒時の就職活動について教えてください。

徳永:正直、全く就活しませんでした。学生時代はずっとサッカーをやっていて、高校時代は試合には出れませんでしたが、全国大会にも出場しました。下手でしたがプロになりたくて、大学もサッカー部に入り、ずっとサッカー漬けでした。4回生のギリギリまでサッカー選手になりたいと考えていたんですが、「あれ?オレ、センスないじゃん」と卒業直前に諦めてから2週間ほどで就活を終えました。意思決定の理由は非常にシンプルで、「初任給がかなり高い」・「合コンでモテそう!」この2つでしたね。

– リクルートといえば、日本でも有数の営業会社と言われていますが、入社してからはどうでしたか?

徳永:周りは私と比へ?て遥かに教養があって意識の高い人ばかりだったので、入社してすく?「来る場所間違えたな …」と思いました。サッカーを辞めて、何かのために頑張る原動力もなかったので、とにかく顧客や上司から怒られないことだけを目的にして働いていました。

私は、社交性や素直さといった人柄が強みなのですが、それもその時は全く発揮できていませんでした。そんなスタンスだったので、結果は言うまでもなくひどかったです。1年目は同期の中でビリだったと思います。断トツで。

– でも、結果としては3年半の期間働いたのですよね?

徳永:はい。さっき話したように、1年目は本当にどうしようもない状況だったのですが、2年目にちょっとした成功体験があって。それをきっかけにだんだんと自信・責任感・使命感みたいなものが生まれて、仕事が楽しくなりましたね。

自分らしさも出せて結果も少しずつ付いてきました。入社当時の怒られたくない・ 合コンでモテたいという思考からすると信じられないかもしれませんが…。在籍期間の最後の方は、「顧客の事業成長のために」、「経営者から信頼されたい」、「この市場はこうなってほしい」といったような、完全に分不相応な思いが自分を動機付けていました。

これは偶然ではなく必然だと思っています。リクルートは社員に対し ”内省”を促す会社 です。成功と失敗の実体験を基に「これができた」、「これは足りなかった」ということを言語化し内省させます。何が言いたいかというと、できること(Can)が増えると、やりたいこと(Will)が増えますよね?そうやってどんどん前向きに仕事をするようになり、 「こういう仕事がしたい!」といった願望が増えました。 勿論、やらなければいけない数字面(Must)を達成することが前提なのですが。

これを纏めて「Will-Can-Must面談」といって、忙しいのに全社員にやるんですよ。最初は何だかオカルトっぽいなぁ…と拒絶反応がありましたが、今では本当に素晴らしい仕組みだと思います。ご想像の通りコミットメントの過酷さや、立ち直れないほどの理詰めに遭うこともありますが、今考えると理不尽なことはなく全て合理的でした。今では入社して良かったと思っています。

海外就職のきっかけとなったベトナム旅行

– とてもいい状態だったように聞こえますが、退職をしたのはどうしてだったのですか?

徳永:私は契約社員だったので契約期間が決まっていました。研修6ヶ月と3年間の契約期間だったので、合計3年半で契約が切れる雇用でした。自分が望めばもしかしたら正社員登用できたかもしれませんが、契約更新をするという考えはなく、転職しようと考えていました。

そう思った理由は主に2つあります。 1つ目は、良くも悪くも「リクルート」という看板は日本の人材市場ではとても強くて、自分は何もしてないのに期待されたり感謝されることがありました。私は自己顕示欲が強くМなので、 何もない状態から信頼を勝ち取ったり、ビジネスをしたほうが成長できる かなと思ったんです。

2つ目は、1人の営業という役割の範疇ではなく、経営者の近くでマネジメントや事業を立ち上げるフェーズの仕事がしたいという気持ちがあったからです。とはいっても、相応の能力や経験はなく、段飛ばしのキャリアパスになってしまいますが、それでも「やりたい!」「挑戦したい!」と思いました。

また、リクルートで第二新卒者の転職斡旋を主な仕事としてきたので、転職に対するネガティブなイメージは全くありませんでした。

– ベトナムで就職したのは何かきっかけがあったのですか?

徳永:ベトナム旅行に来たことがきっかけでした。実は私、それ以前は海外に全く興味がありませんでした。ベトナムへ就職で来たのは2017年11月で、人生初の海外旅行としてベトナムに来たのはその年の5月。当時はハ?スポートも持っていなかったくらいで、旅行前日に初めてハ?スポートを手に入れて出発しました。

そして、リクルートのつながりでベトナムでビジネスをしている方と接点を持つ機会がありました。その時、その方が誘ってくださったのがきっかけでベトナムに就職をすることになりました。

さきほど話した2つの転職理由の他にも意思を決めた理由がいくつかあります。まず、日本はこの先も人材不足であるから、高確率で「海外の人と働く」という事が今後起きると考えた時に、海外での仕事が非常に価値のある経験になるということ。また、日本市場は成熟していて、新しく何かを起こすとしても限定的な領域になってしまいがちだな、という印象があったからです。

最後に、これが1番の理由ですが、 単純に超絶ワクワクしたから です。何個かの選択肢の中で圧倒的に先が読めず、全てが混沌としていて、同じような日がこないんだろうな、と思いました。竹内まりや風に言うと「毎日がスペシャル」ですね。

ベトナムでの仕事内容

– ベトナムに来てからはどのような会社に就職されたのですか?

徳永:BPO 事業を行なっている企業で、のちに人材紹介事業を展開する予定だった会社に就職しました。リクルートでの営業経験があったので、新規事業である人材紹介事業を担当することになっていました。予定通り、人材紹介事業を開始したものの、様々な事情があり1年ほどで退職をしました。

– その企業を退職する時に、日本に帰ることは考えなかったのですか?

徳永:もちろん考えました。その時期はそれなりに悩みましたね。日本に帰って再スタートしようと思う気持ちもあれば、まだベトナムで頑張りたいという気持ちもありました。

悩んだ結果、ベトナムで再就職をすることを決めました。僅かですがベトナムでの生活にも慣れ、様々なことを経験できた一方、ビジネスとして自分が胸を張れるようなことはできていませんでした。 いつか日本に帰った時に「これを成し遂げた」と胸を張って言える実績やキャリアを作りたい! そんな気持ちを優先することにしました。

– 現在の企業ではどのようなお仕事をされているんですか?

徳永:現在は日系のIT企業で働いています。現在は主に、業務系システムのオフショア開発を行なっている企業なのですが、エンジニアの常駐事業をスタートさせ、その営業や管理をしています。ベトナムには日系のIT企業がたくさんありますが、その多くは日本向けの開発をベトナムで行うオフショア開発をしている企業です。

受注するプロジェクト量の増減に伴って、エンジニアが不足したり、過剰になったりということが頻繁に起こります。皆さん悩まれているという事を 顧客の声を直接聞いて実感しましたし、この問題を少しでも解決したい という思いがあります。

日本では客先常駐という働き方が特に不自然ではありませんが、ベトナムのエンジニアの方々にとっては受け入れがたいものです。ベトナムの労働者の考え方や文化に合わせた仕組みを作らなければならない難しさがある一方、国策として国がエンジニアの教育に投資していたり、人件費が年々上昇し、既存モでルでは長期的な展望が難しかったり、 マーケットとして過渡期であるが故、ビジネスチャンスはある と考えています。

ベトナムと日本、就職してみて感じる違い

– ベトナムで働いているからこそのメリットを感じることはありますか?

徳永:日本の時と比較すると、月並みですけど、文化やバックグラウンドがまるで違う人とビジネスができること、 経済発展中でなんでも勢いや変化があり面白いこと、ですね。

それと私が強くメリットと感じるのは、 「日本人のおっさんとの関係構築」 ですね。ちょっと言い方はふざけましたが、かなり真面目に思っています。私が日本で働いていた時は東京勤務だったのですが、異業界の先輩とプライベートで接点を持つことはほとんどありませんでした。

接点を作ろうと思えばできたことかもしれませんが、日本だと何かすんなりといきませんよね。ベトナムでは日本人同士の距離が近いので、色々な業界の人に気軽に会うことができます。人生の先輩に、いろんなことを、いろんな視点や価値観でご指導いただいたり、考え方をご教示いただけるのは本当に価値があることだと思っています。特に私は20代で独身なので尚更です。

また、ベトナムの市場を狙ってこちらでビジネスを興す人が沢山います。非常に優秀でバイタリティ溢れる方が多くて、尊敬できる知人が沢山できました。

– ベトナム人と働いていて、日本人との違いなど感じることはありますか?

徳永: ベトナム人は私より遥かに賢いです 。また弊社のスタッフは優秀です。ただ複雑で細かい作業の処理や、 最も効率的な手段を求める能力が高い人が多い一方で、計画を立てたり中長期的な視点を持つことが苦手な人が多い印象です。ただこれは日本でもあり得ることであり、大事なのは役割を最適に分担して、動機付けさせて人を動かすことなのかと思います。と、口では簡単言えるものの、私はまだまだできていないので…、頑張ります。

– 今まで海外には全く興味がなかったとのことですが、ベトナムの生活はどうですか?

徳永:最高です。とても快適ですね。物価が安いので、低コストで生活ができています。自分はベトナム料理が好きで、ローカルレストランに行くことが多いので、三食外食でも大体1日400円もあれば生活できています。ものによっては日本よりも格段に安く、美味しく食べれるものもあるし、日本では気軽にできないことをベトナムでは簡単にできるなんてことが沢山あります。

– 海外での日本人コミュニティーを好まない人もいると聞きますけど、どう思いますか?

徳永:そういう意見もあると思います。打算で考えて、損なら私も好まないかもしれませんが。と言いつつ、私はベトナムに来たときは無意味に尖っていましたね。「日本人コミュニティには行かない!」みたいな。でも正直、最初すごい寂しくて…。よくよく考えると、「そこ背伸びする必要なくないか?」と思いました。 弱くて寂しがり屋な自分を受け入れました。今では日本人の友人やコミュニティを大事にしています。

著者紹介
JellyfishHR Co.,Ltd
2013年8月から日系人材紹介会社としてベトナムに進出。現在「ハノイ」「ハイフォン」「ホーチミン」の3拠点にて、日系、非日系問わず人材紹介サービスを提供しており、常に100件を超える日本人向けのベトナム勤務の求人・仕事を保有している。
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