- 妊婦用の生産ライン「マミーライン」整備
- サービスアパート並みの充実した社員寮
- 大型食堂や医療施設、社内カレッジも
ベトナム最大の海外投資家である韓国サムスングループ(Samsung Group)は2024年8月現在、ベトナム国内で生産拠点6か所、研究開発(R&D)センター1か所、小売会社1社を展開しており、2023年末時点での累積投資総額は228億USD(約3兆4000億円)に達した。
(C)Tin Tuc |
2023年における同社傘下のベトナム法人各社の輸出額合計は557億USD(約8兆3000億円)で、ベトナムの輸出総額の16%に寄与。ベトナム事業がサムスンの世界的なサプライチェーンにおいて、非常に重要な役割を果たしているため、同社ベトナム法人各社は労働生産性向上策の一環として、福利厚生制度の充実化に注力している。
同社の福利厚生制度は、地元当局や労働者の間で非常に評判が良く、地元メディアが最近、同社の福利厚生制度の詳細を紹介したことで話題となっている。
中でも、妊娠中の女性労働者向けの個別生産ライン「マミーライン(Mommy Line)」が好評だった。ここでは妊婦専用の快適な椅子が設置され、作業も妊婦に適切なものとし、仕事を効率的にこなしながら母子健康を確保できる環境を実現している。2023年には8500人以上の妊婦が制度を利用した。
また、社員寮は45棟(計5274戸)あり、約1万8000人の労働者が滞在している。寮には、エアコン、化粧室、ランドリールーム、図書室、カラオケルーム、映画館、ジム、ヘアサロンなどが完備されている。
労働者向け送迎バスは110路線を展開し、45人乗りのバス800台を運行。食堂は14か所あり、2万3000人が一度に食事できる。1日当たりに提供する食事は、11万7000食となっている。
法人各社はさらに、直営の診療所8か所(計190病床)を展開し、内科・外科・産科・耳鼻咽喉科・理学療法科の医師32人・看護師85人を擁している。この他、健康診断センター2か所、カウンセリングセンター、地元の短大・大学との提携による社内カレッジもあり、労働者の自己啓発やキャリアアップを支援している。