中部クアンビン省のいくつかの村をまたぐ地域に1年ほど前、500kVの高圧送電線を渡す鉄塔が立てられた。しかしその後、鉄塔付近に家を構える住民らが次々と体の不調などを訴え始めた。ある人は、家の裏の畑を耕している最中に突然手足が麻痺。豚と牛を飼う農家では、鉄塔設置後、頭や足のない子豚や子牛が産まれた。これまで健康でかくしゃくとしていた老人らは原因不明の痛みに襲われ病院を転々とし、子供たちは朝起きると頭が痛いと訴える・・・。
この事態を受けて、省人民委員会は住民の引越し費用の負担をベトナム電力総公社に求める文書を送付した。同公社が実態調査したところ、確かに住民らは強い電界にさらされており、ただちに引っ越す必要があることが認められた。
ところが、それから現在に至るまで、ベトナム電力総公社から住民の引越費用は出されていない。自費で引っ越す余裕のない14家族は依然この地域で暮らしており、健康を蝕まれながらひたすら同社からの連絡を待ち続けている。