ホーチミン:マイナー言語の法廷通訳人が不足、経費も高額

2018/04/20 16:24 JST配信

 ホーチミン市人民裁判所で2017年半ば、違法薬物の運搬の罪で起訴された南アフリカ国籍の被告の公判が開かれた。ところが閉廷後にこの被告が突如泣き出し、自身は精神分裂症だとして精神鑑定を要求したという。同市人民裁判所によると、こうした外国人事件の公判は通訳人の招聘に大幅な時間と経費が掛かり、非常に困難だとしている。

(C) Pham Dung, Nguoi Lao Dong
(C) Pham Dung, Nguoi Lao Dong

 特にマイナー言語を母国語とする被疑者や被告となるとなおさらだ。最近では強盗罪で起訴されたイラン国籍の被告の通訳人を探したものの見つからず、取り調べから公判のために最終的に駐ベトナム・イラン大使館から通訳人を招聘した。

 通訳人の要望に沿った宿泊先や食事、移動に経費がかさむほか、取り調べや公判の日時も全て通訳人のスケジュールに合わせなければならない。このため、たとえ軽犯罪だとしても捜査や勾留が長引き事件終結に時間がかかる。

 また、ベトナムと被疑者または被告の母国との法律の違いや、法律に関する理解度なども難題だ。現在のところ通訳人は外国語に精通しているか、被疑者または被告の母国語か共通語が使われる国・地域で教育を受けた法律の教育者が担っている。

 しかし現状では、ベトナムの刑事訴訟法では通訳人に関する規定が厳密にされていないほか、司法通訳の組織も存在しない。本来ならば法律用語など一定の知識を携えていて初めて正確に通訳ができるが、外務局や出入国管理機関、通訳会社から招聘する通訳人による通訳の質は保証されていない。

 さらに、通訳人と被疑者または被告人の会話の内容は当事者にしか理解できないため、仮に通訳人が虚偽の事実を通訳した場合や守秘義務を犯した場合も、そのことを証明し罰することも困難だ。

 同市人民裁判所の元所長のグエン・ティ・トゥ・トゥイさんによると、たとえ被疑者または被告の母国語がマイナー言語で、本人はベトナム語に精通していたとしても法廷では通訳を介すこと、裁判官や弁護士、警察など公判に参加する者はベトナム語を使用することが規定されている。

 これまでにトルコ語やブルガリア語、ペルシア語、スペイン語などを含む20か国語の法廷通訳を請け負ってきた市内通訳会社は、法廷で被疑者または被告がベトナムでは馴染みのない母国の専門用語を使用した場合や、わざと質問と噛み合わない回答をする場合などに通訳人はとても苦労すると話す。

 このため法廷通訳料は非常に高額で、当局で決済が下りないこともある。これでスケジュールを空けておいた通訳人は仕事が流れてしまい、不満を漏らす通訳人もいるという。

© Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved 利用規約 免責事項

この記事の関連ニュース

 シンガポールの教育省はこのほど、国の将来を担う子供たちの生涯教育の一環として、アジアとりわけASEA...
 南中部高原地方ダクラク省モドラク郡人民裁判所で22日、森林破壊罪に問われている被告13人の3回目の裁...
 ベトナム航空(Vietnam Airlines=VNA)の機内で外国人乗客による窃盗が多発しており、11月だけで14件に...
 南中部沿岸地方カインホア省人民検察院は4日、トロイアン・アレクセイ容疑者(男・33歳)ら3人のロシア人...
 ホーチミン市ゴーバップ区14街区ファンフイイック通りのカンザーマンション1階にある食堂で28日21時ご...
 ハノイ市警察は20日、同市にある複数の高級ホテルで宿泊客の持ち物を盗む事件を起こした外国人容疑者2...
 ハノイ市人民裁判所は14日、韓国人のコ・カ・パク被告に売春あっせん罪で5年の判決を下した。パク被告...

新着ニュース一覧

 7日のベトナム株式市場は、ホーチミン証券取引所(HSX)のVNインデックスが大型株の牽引により上昇し、史...
 トー・ラム書記長 兼 国家主席は5日から7日にかけてインドを国賓訪問し、ナレンドラ・モディ首相および...
 配車アプリを展開する地場Beグループ(Be Group)は、5月8日より各種サービスの料金を+2~11%引き上げる...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ホーチミン市の中心部には、築140年以上の給水塔が今も存在している。この建築物は、19世紀末にフラン...
 インドネシアのフィンテック企業クレディボ(Kredivo)は6日、ベトナムのデジタル銀行ティモ(Timo)の買収...
 ベトナム国家銀行(中央銀行)によると、2025年末時点で15歳以上の国民の銀行口座保有率が約89%に達した...
 レ・ミン・フン首相はこのほど、戦略的技術および戦略的技術製品のリストを定めた決定第21号/2026/QD-T...
 インドにおける2026年1~3月期の電気自動車(EV)販売台数ランキングで、ベトナムのEVブランドがトップ4...
 国内最大手の格安航空会社(LCC)ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)の子
 観光不動産開発を中核とする地場系コングロマリット(複合企業)サングループ(Sun Group)によると、南部...
 観光不動産開発を中核とする地場系コングロマリット(複合企業)サングループ(Sun Group)傘下のサン・フ...
 ハノイ市ドンアイン村の国家展示センター(VEC)で、5月13日(水)から15日(金)まで、「ベトナム国際広告設...
 科学技術省によると、全国における第3世代移動通信システム(3G)、第4世代移動通信システム(4G)、第5世...
 中国が南シナ海の一部海域を対象に5月1日から8月16日まで漁獲禁止令を一方的に発布したことを受け、ベ...
 「サイゴン・ザーディン市」が「ホーチミン市」へと市名を変更した1976年7月2日から、2026年7月2日で50...
トップページに戻る