南部メコンデルタ地方ビンロン省人民裁判所は26日、拉致されそうになった妻を救出するため、犯人の男を尖った鉄棒で刺し殺した夫に対し、禁固1年の判決を言い渡した。また、この拉致事件に関わった実行犯らにも、禁固刑が下されている。
(C)tuoitre |
事件は2020年11月15日にロンホー郡ロンアン村(xa Long An, huyen Long Ho)で起きた。拉致実行犯の男6人は事件当日、東南部地方バリア・ブンタウ省を出発し、国道53号線沿いにある喫茶店「ナムザオ(Nam Giao)」に向かった。昼ごろに目的地に到着すると、男らは店内に押し入って店主の妻であるV・T・T・Hさんを車内に引きずり込んで逃走しようとした。
店の裏庭にいた店主のチャン・ゴアイ・ザオ被告(男・当時30歳)は、妻の悲鳴を聞いて助けに入ったが、顔面に催涙ガスを噴射された。ザオ被告は尖った鉄棒を振り回して男らに反撃。この結果、鉄棒が実行犯の1人に刺さり、その場で死亡、他の1人も負傷した。ザオ被告は事件直後、警察に自首していた。
その後の捜査で拉致を企てたのは、Hさんの母親であることが発覚。実行犯のうち1人はHさんの弟だった。母親はザオ被告と娘の結婚に反対しており、娘を連れ戻すために、金で人を雇って拉致を計画した。
裁判所は、激しい精神的動揺のもとでの殺人罪に問われていたチャン・ゴアイ・ザオ被告(32歳)に禁固1年の判決を言い渡した。事件後、すぐに自首したこと、反省の色が濃く、犯行時も通常の精神状態ではなかったことなどが考慮され、比較的軽い量刑となった。
一方、拉致に関わった6人の被告には、それより重い量刑が下された。拉致の首謀者であるHさんの母親ボー・ティ・キム・チー被告(女・59歳)には禁固3年。実行犯である◇グエン・バン・ティエン被告(男・31歳)、◇グエン・アイン・ビン被告(男・27歳)、◇チャン・バン・ズン被告(男・31歳)、◇ズオン・バン・ティエン被告(男・37歳)には禁固3年6か月。Hさんの弟であるグエン・タイン・ニュット被告(男・22歳)には禁固2年の判決が下された。罪状はいずれも誘拐罪。
また裁判所は、民事上の賠償について、ザオ被告に対し、死亡したレ・バン・ティン氏(男性・当時28歳)の家族に3億1300万VND(約175万円)の支払いを命じた。