土地使用権証明書を野菜や果物のように幹線道路の歩道に並べて「土地」を販売しているある男性が、大きな話題になっている。この男性は南中部沿岸地方ビントゥアン省で不動産仲介会社を営んでいるグエン・フウ・チーさんだ。
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金利の上昇を受けて不動産市場が低迷し、成約率も大きく低下している中、不動産仲介会社は苦戦を強いられており、人目を引く独自の手法でなければ集客ができないのが現状だ。
こうした中、チーさんは土地の「行商」を決意した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での宣伝と同時に、ビントゥアン省や隣接する東南部地方の省・市を通過する幹線道路で通行人が多い場所を見つけると、歩道にシートを広げてその上に土地使用権証明書を並べる。
チーさんによると、家族と地元住民の土地使用権証明書約100部のほか、土地使用権証明書を未取得の区画数百件も扱っているという。チーさんに土地を預けている地主には、ドラゴンフルーツ栽培農家が多い。「ドラゴンフルーツの価格が1kg当たり2000~3000VND(約11.8~17.6円)に暴落し、銀行への支払利息も膨らんでいるため、多くの栽培農家が土地の清算を希望している」とチーさんは説明した。
路上で販売する土地は農業用地が大半で、このうち面積が約1000m2で1億2500万~1億5000万VND(約74万~88万円)の区画は手ごろなため人気があり、着々と成約している。
なお、チーさんは10月末ごろからホーチミン市直轄トゥードゥック市の歩道でも土地を販売している。チーさんは、独自のPR手法で何とか苦境を凌ぎたいと語った。