- イタリアの「カフェ・ソスペーゾ」に由来
- 自分の分に加えてもう1食分を店に支払う
- その分の食事を困っている人々に無料提供
ホーチミン市ではこの数年、困難な環境にある人々に無料で食事を提供する食堂が増えている。
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イタリアの「カフェ・ソスペーゾ(保留コーヒー)」に倣ったアイデア「コム・チェオ(保留飯:com=ご飯、treo=吊るす、掛ける、保留するなどの意味)」もその一つだ。
「保留飯」の運営方法は、簡単だ。客は、自分が食事をした際に、加えてもう1食分(または数食分)の代金を店に支払う。店は、その客が支払ってくれた分の食事を、困難な環境にある人々に無料で提供する。
ホックモン郡バーディエム村グエンアイントゥー通りの食堂「タインニエン(Thanh Nien)」が16時30分に営業を開始すると、17時頃に馴染み客がやってきて、「1皿ちょうだい。それと『保留飯』3食分」と頼んだ。店員はそれに応答し、手早く3食分の「保留飯」を準備して、店頭の箱に食事を入れた。
店主によると、普通の食事は1皿3万~5万VND(約185~308円)で販売しているが、保留飯は2万VND(約123円)に設定している。
「保留飯」を頼りにする客は、独居老人や廃品回収の女性、宝くじ売り、学生などで、多くの人にとってはたった1食でも、困難な環境にある人々にとっては、それが温かい、困難を乗り越える希望となる。
与える人は自分ができる範囲で共有し、受け取る人も気兼ねすることはない。食事に来た客は、自発的に食事を「保留」するのであり、名乗ることもない。
店がこの取り組みを始めて1か月が経つと、多数の支持を得られた一方、やれ売り上げを伸ばすためだ、やれ金を受け取りながら実際には「保留飯」を用意していない、など批判的な声もあった。しかし店主は、そんな偏見を乗り越え、困っている人々にもっと食事を無料で提供するにはどうすればよいかを考えるたびに、この活動を続けるモチベーションが高まっていくと話す。
61歳の宝くじ売りの男性は、温かい「保留飯」を手にして「お金がなくなると、ここに来て食事をもらっています。美味しいし、量もたっぷり。私たちを助けてくれてありがとう」と話した。