「リトルサイゴンの父」フランク・ジャオ

2007/03/25 08:30 JST配信

 ゴールドシー・エイジアン・アメリカン・デイリーというアジア系住民のためのウェブサイトが選んだ、最も影響力のある70人のアジア系アメリカ人の67番目。カリフォルニア州の地元の住民たちは今でも彼のことを「リトルサイゴンの父」と呼ぶ。

 彼の名はフランク・ジャオ(ベトナム名はチエウ・ファット)。ブリッジクリーク不動産社のカリフォルニア本社会長であり、ベトナムのVホーム投資ファンドの最高経営責任者でもある。彼の不動産会社はアメリカで既に4億ドル(約480億円)以上を投資している。

 彼が1975年にアメリカへ渡った時には何の財産も持っていなかった。貧しくて食料を買うお金を得るために着ている服を売るような状況で、掃除機を売り歩いたり、工場で組立の仕事をしたりしていたという。

 「こんなことは決して珍しい話ではない。ほとんどのアメリカ移住者は、始めは私と同様の状況だった」と彼は振り返る。困難を乗り越え、不動産の勉強をした彼は、ある不動産会社で働き始める。そしてわずか3年後、彼はブリッジクリーク社を立ち上げた。

 ブリッジフリーク社の成功はカリフォルニアで有名なリトルサイゴン地区の発展と深い関連がある。「イタリア、スペイン、中国などからの移民たちは皆、固有の文化に基づくコミュニティを築いていた。そしてベトナム人移民たちもそれを求めていた」 先見の明により、彼はそこに暮らすベトナム人たちの要求に応えるべく、現在のリトルサイゴン地区の店や会社に投資を行ってきた。

 今では、リトルサイゴンは在米ベトナム人の代表的なコミュニティとなり、彼自身も想像し得なかったほど力強く発展した。ブリッジクリーク社は、リトルサイゴン地区をアジアン・ガーデン・モールの名で知られる商業センターに変身させたのだ。同モールは1987年にボルサ・ストリートでオープン、4600平米の広さを持つ。ボルサ・ストリートは300軒以上の店が連なるにぎやかな商業区域となり、リトルサイゴンの中心地になった。

 彼は仕事の中で常に「洞察」と「創造」という2つの言葉を大切にしてきたと言う。「5年先、10年先、できればさらに先のことを見据えることが大事だ」 別の言い方をすれば、彼は競争が嫌いで、他の人が既にしたことをするのが嫌なのだという。「競争が煩わしい、怖いとってもいい。ただ確かなのは、私はまだ誰も通ったことがない道を見つけたいだけなのだ」 この考え方こそが成功の秘訣なのだろう。

 ベトナム系という自らの出自に誇りを持ちながらも、彼は常に移民コミュニティの一員に留まることなくアメリカ社会に同調する必要を感じているという。「例えば泳ぐということ一つとっても、湖の中で泳ぐのと海の中で泳ぐのは全く違う。すべては自分自身の選択に左右される」 さらに彼は、アジア系の人間がアメリカで成功するためには、熱心さ、クリエイティブな頭脳、アメリカの政治や社会についての深い理解が必要だと述べている。彼がアメリカ人から学んだものは、仕事に対する専門性とまっすぐな態度、仕事上のモラルだという。彼は常にこれらのことを心にとめ、実践してきた。

 彼は自分の成功について、一生懸命働いてくれた社員たちの力がなければありえなかっただろうと語る。また、家族も非常に大きなよりどころだったという。「決断の時、妻はいつも私を支えてくれた」 彼の2人の娘はいずれも彼の後を継ぐ気はないらしい。「私はいつでも彼女らの意志を尊重するし、独立させたいと思っている。無理に後を継がせるつもりもない」と彼は言う。

 61歳になり髪にも白いものが目立ってきているが、まだ引退は考えていないようだ。暇があれば読書やバスケットボールをし、遊びの中からでもなにかの学びを得る。「力もそう強くないし背も高くないが、バスケットボールは好きだ。私のような者がもし勝てたとしたらとても大きな励みになるし、負けてばかりだったとしても学ぶことがたくさんあるから面白いんだ」

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