ベトナムのロミオと北朝鮮のジュリエット

2011/04/24 08:04 JST配信

 北朝鮮最高人民会議常務委員会は2002年、夫ファム・ゴック・カイン(ベトナム国籍)と妻リ・ヨン・フイ(北朝鮮国籍)の婚姻を認めた。北朝鮮大使館がベトナム外務省に宛てて出したこの通知は、31年の月日をかけて夫婦のもとに届いた。

(C) Bao Moi
(C) Bao Moi

 1967年、当時18歳のカインは国からの選抜で平壌東部にあるハム・フン工業大学の機械科学科に入学した。それからの4年間は学業に没頭した。その後は、大学から15キロほど離れたフン・ナム窒素工場で実習を行っていた。一方のフイは、幼いころ父が家を出て、母子家庭で育った。母の苦労もあり、大学まで通わせてもらった。卒業後は地元に戻り、フン・ナム窒素工場に就職した。

 ある日、フイは窓越しに自分を見つめる男性に気がついた。それがカインだった。それから、かつて「ハム・フンのひまわり」と呼ばれた彼女は次第に彼に心を開いていく。彼らでさえ想像もしなかった31年にわたる長い愛の物語の始まりだった。2人は愛し合っていたが、当時の法律も世間の風潮もそれを許していなかった。2人の関係を知っていたのは数人の友人と娘の様子から察した母のみだった。

 2年後、カインは滞在期限が来て、国へ帰ることになった。最後の数か月は時間が飛ぶように過ぎた。カインはかばんを下げ、重い足取りで列車に乗り込んだ。駅のホームで走り出す列車を追いながら青いハンカチを振るフイの姿を忘れることが出来ないという。

前へ   1   2   次へ
[Phú Thái Baomoi 08/02/2011 07:01:00 AM (GMT+7) U]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 北朝鮮人の妻とのおとぎ話のような恋愛で、かつて人々の感動を巻き起こしたファム・ゴック・カインさん...
 ベトナム戦争下の東南部地方ドンナイ省で交際し、その後生き別れとなっていた元米軍兵の米国人男性とベ...

新着ニュース一覧

 英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds=QS)が発表した最新の大学ランキング...
 世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム(Booking.com)」はこのほど、6月のプライド月間(L...
 米マイクロソフト(Microsoft)が発表した調査報告書「ワークトレンド指数(Work Trend Index)」2025年版...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は
 在ベトナム米国大使館は18日、巡視船「CSB8022」をベトナム海上警察に引き渡したと発表した。越米間の...
 宅配を手掛ける地場ゴゾ・エクスプレス(Gozo Express)は18日、地場系コングロマリット(複合企業)
 最先端の機械学習テクノロジーを活用してモバイル資産を識別・評価・最適化する米国のラウンズ(Rounds)...
 サイゴンハノイ保険[BHI](Sai Gon-Ha Noi Insurance Corporation)は、韓
 ホーチミン市7区のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen Van Linh, quan ...
 ベトナムは、ライチの生産量で中国に次ぐ世界2位となっている。  2025年の収穫量は約30万3000tで、...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ハノイ市ノイバイ国際空港で、ベトナム人乗客による日本円の違法持ち出しが発覚した。税関当局が18日に...
 国内IT最大手のFPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、東南部地
 国会は18日、エネルギー使用効率化法の一部を改正・補足する法律を可決した。同法は2026年1月1日に施行...
 持田製薬株式会社(東京都新宿区)とMeiji Seikaファルマ株式会社(東京都中央区)は、持田製薬が日本で販...
トップページに戻る