ホーチミン市警察麻薬犯罪捜査課(PC47)の女性捜査官たちは、普段は笑顔を絶やさず、一見するとまだ学生のような幼さを残している。しかし、彼女たちこそが潜入捜査を支える影の功労者なのだ。
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24歳のレ・クインは、ピンク色の肌に大きな丸い目、すらりとした体つきの女性捜査官だ。顔は高校生のようにあどけない彼女だが、PC47の女性捜査官たちの中でも指折りの武術の使い手だ。「ゴールド・ダンスホール(ホーチミン市1区のディスコ)の立ち入り検査に参加したことがあるんですが、他の男性刑事が私のことを客だと思って、ずっと追いかけて来たんです。しばらくしてようやく捜査官だと分かってもらえました」クインは笑いながら語った。
警察学校に入って間もなく、クインは麻薬捜査科に配属された。高校時代に古武術やシラット(東南アジアで盛んな伝統武術)、ボクシング、ボビナム(ベトナム武術)などを習ってきた彼女だが、警察学校でテコンドーをも習得した。
「か弱い女の子にしか見えない彼女ですが、それが潜入捜査では逆に武器になります。麻薬売買の現場では、男性捜査官は警戒されて勘付かれてしまう。知らない顔があれば、すぐ分かりますから。そんな時、彼女なら相手の警戒心を解き、入り込めるのです」彼女の上司はそう教えてくれた。