30年近く前のドキュメンタリー映画「Chuyen tu te(英題:Living As One Should)」の中で、ハンセン病に罹患したとされる女性が小さな息子ために家を残して置きたいと、指のない手で毎晩レンガを積み上げてゆく姿が描かれていた。当時40歳だったチャン・ティ・ハンさんは、今70歳近くになり、息子の家族と共に幸せに暮らしている。
、現在のハンさん |
(C)Tuoi tre, ドキュメンタリー映画「Chuyen tu te(英題:Living As One Should)」の一場面 |
ハンさんは1967年に経理学校を卒業すると、すぐに戦場での仕事を志願した。3年後、マラリアにかかって死にかけ、北部で経理関連の仕事に就いたが、1972年には空襲を避けるため、旧ハタイ省(現在のハノイ市)から夫の故郷に移った。
生活は困窮し、息子のトゥー・アインを紅河デルタ地方タイビン省にいる自分の母親に預けて暮らしていたが、やがて夫が別の女性と姿を消してしまった。さらに、その頃から手の指が膨れる病気にかかり、指が動かなくなった。
実家に帰っても病気を治療することもできないハンさんは、痛みに耐え切れず、刃物を真っ赤に焼き自分で膨れた指を切断した。その手を見た人々の間で、彼女はハンセン病ではないかとの噂が広まり、村当局はハンさんを病院に強制収容した。医師はハンセン病ではないと診断したが、村に帰っても噂は収まらなかった。