国際生物学五輪で16年ぶり金メダルの女子高校生、夢までの道のり

2016/07/31 05:03 JST配信

 チンさんが高校3年生になったばかりの頃、チュオンさんはチンさんを故郷に連れて帰ろうとした。「私はチンに、『もしこの高校に通い続けるのであれば、学費を払うことはできないよ』と話しました。チンは何も言わず同意して、家族の節約のために高校を辞めて故郷に帰るだろうと思っていました」とチュオンさん。

(C) vietnamnet, チンさん
(C) vietnamnet, チンさん
(C) vietnamnet, チンさんとブー・ドゥック・ダム副首相
(C) vietnamnet, チンさんとブー・ドゥック・ダム副首相

 しかし、チンさんに特別目をかける担任の先生の説得により、家族は引き続き高校へ通うことを許したのだった。「チンへの仕送りが間に合わないことも多いのですが、そんな時は先生が自費で助けてくださるんです。チンもどうしても勉強したいというので、私と夫は腹をくくりました」。

 2人の子どもを育てながら厳しい生活を送る中、チュオンさんは収入を増やすため、田舎からハイズオン市に出稼ぎに行くことに決めた。実家に帰れるのは週に1度だけだ。

 母の苦労を裏切ることなく努力を続け、勉強に打ち込んだチンさんは、高校2年生の時に全国で最も優秀な学生に選ばれた。高校3年生の時は2位だったが、2年連続の受賞。そして今回、国際舞台での金メダル獲得という夢を実現した。

 チンさんは、勉強方法について「最も重要なことは自分で勉強することです。1つの問題に直面したら、私はいつも自分で関連する質問を考えて、その問題をより深く理解できるように頑張って自分で答えを見つけるようにしています」と話す。

 今後の計画についてチンさんは、ハノイ市医科大学の総合医学部を受験するつもりだと教えてくれた。将来は医者を目指しているという。ベトナム代表の女子高校生の夢は、まだまだ始まったばかりだ。

 今回の国際生物学オリンピックには、過去最多となる世界71か国・地域の高校生264人及び教員238人が出場し、実験と理論の問題で競った。ベトナムは金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個を獲得した。これにより、ベトナムは1996年の初出場から、通算で金メダル2個、銀メダル11個、銅メダル47個を獲得したことになる。

前へ   1   2   次へ
[Thanh Hung, Vietnamnet, 24/07/2016 12:13 GMT+7, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 アラブ首長国連邦(UAE)のアル・アインで開催された「第34回国際生物学オリンピック(IBO 2023)」で、ベ...
 アルメニアがホスト国となり開催された「第33回国際生物学オリンピック(IBO 2022)」で、ベトナム代表と...
 ポルトガルが主催した「第32回国際生物学オリンピック(IBO 2021)」で、ベトナム代表として出場した高校...
 11日と12日に開催された「第31回国際生物学オリンピック(IBO 2020)」で、ベトナム代表として出場した高...
 ハンガリーのセゲドで14日から21日にかけて開催された「第30回国際生物学オリンピック(IBO 2019)」で、...
 イランで開催された「第29回国際生物学オリンピック(IBO 2018)」で、ベトナム代表として出場した高校生...
 ジョージア(グルジア)の首都トビリシで開催された「第48回国際化学オリンピック(IChO 2016)」で、ベト...
 ハノイ市で開催された「第27回国際生物学オリンピック(IBO 2016)」で、ベトナム代表として出場した高校...

新着ニュース一覧

 商工省によると、2025年におけるベトナムの輸出入総額は推定で約9200億USD(約144兆円)となり、過去最高...
 ベトナム建設省は19日、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間鉄道建設事業の第1サブプロジェクトの着工式を...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社...
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 軍事ウェブサイトのグローバル・ファイアパワー(Global Firepower=GFP)が発表した2025年版の世界軍事...
 ファム・ミン・チン首相は20日、ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)のレ・マイン・フン会長を...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、同社が開発を進めている西北...
 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は15日、ベトナムの新たなドローン産業団体であるベトナム低...
 電子機器・電気機械器具の製造・販売を手掛けるコーセル株式会社(富山県富山市)は、海外子会社(非連結...
 ベトナムで初となる軽量軌道交通(LRT)路線が19日、南部メコンデルタ地方アンザン省フーコック特区(島)...
 米国の調査機関World Population Review(WPR)が先般発表した
 ホーチミン市では現在、計1万8613台のタクシーが運行されており、このうち電気自動車(EV)が1万3124台で...
 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、「2025~2035年の外国語教育強化計画および2045年までのビジョン」...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)の副学長を務めていたグエン・ティ・...
トップページに戻る