ベトナム映画「パパとムスメの7日間」落合賢監督インタビュー【前編】

2019/01/20 05:00 JST配信

(五十嵐先生のインタビューで、パパ役とムスメ役がすごくイメージに合っていたとおっしゃっていた、という編集部の話を受けて)僕もタイ・ホアさんとケイティ(Kaity Nguyen)さんの化学反応は良かったと思います。監督の仕事の90%はキャスティングだと思うんですよ。この2人をパパとムスメにキャスティングできたというのはチャーリーさんのおかげでもあるんですけれど、この2人がいるからこそこの映画は成り立っていると思います。

(C) VIETJO/Sa Huynh
(C) VIETJO/Sa Huynh

―――1作目のときと比べて、監督ご自身のお気持ちや心構え、撮影の進め方や現場の雰囲気などはいかがでしたか。

2本目ということでやっぱり余裕は生まれました。特に撮影のときですね、準備も含めて常に臨機応変さを問われるということはわかっていたので。前回もそうなんですけれど、プランにプランを重ねても当日それが実行されていないということは多々あって。それをストレスと思わないようになってきたというか、逆にそれを楽しむというか、どういう形で解決して物語を伝えていくのか、ベストな形にできるのかというのが逆に挑戦だったと思うんです。そういう意味では毎日すごく楽しかったですね。

ただ今回一番きつかったのは、12月、年末に公開ということだけがあったので、以前よりもだいたい3~4か月くらい仕上げの時間が短かったんです。その短い仕上げの中で、皆さんからの意見であったり検閲であったりだとか、全部取り上げながらベストな形にしていくというのが挑戦ではありましたね。

今回、撮影期間は正味37日間でした。サイゴン・ボディガードは43日間だったので、1週間短いくらいですかね。ただ、規模的には両作品ともほぼ同じような規模で、今年の目玉作品ということでやらせていただいたので、すごく贅沢な撮影環境、仕上げ環境ではありましたね。ただ、編集は公開前のぎりぎりまで続いていたので、スタッフはヒーヒー言っていましたね(笑)。

後編へ続く

――――――

落合賢監督プロフィール

落合賢(おちあい・けん)

1983年生まれ。東京都出身。12歳から映画を作り始め、日本の高校を卒業後に渡米。南カリフォルニア大学(USC)で映画制作を学んだ後、アメリカ映画協会付属大学院(AFI)映画監督科に進学し修士号を取得。

短編と長編合わせて30本以上の作品を日本国内外で監督し、ショートショートフィルムフェスティバルで東京都知事賞(「ハーフケニス」2009年)および国土交通大臣賞(「井の中の蛙」2010年)、ローマ国際映画祭最優秀国際短編映画賞(「ハーフケニス」2009年)など数々の賞を受賞。2013年には、ウエンツ瑛士主演の「タイガーマスク」が公開。2014年公開の「太秦ライムライト」は、米国など世界中で広く上映され、大きな注目を集めた。

2016年12月公開のベトナム映画「サイゴン・ボディガード(Ve si Sai Gon)」で日本人として初めてベトナム出資、オールベトナム人キャストのベトナム語映画のメガホンを取った。現在は米国ロサンゼルスと日本に拠点を置いて活動中。

ベトナム映画「パパとムスメの7日間」は、五十嵐貴久氏の同名小説が原作。日本で2007年にドラマ化、韓国で2017年に映画化されている。ベトナム版では数々のヒットを飛ばしているチャーリー・グエン(Charlie Nguyen)氏がプロデューサーを務めるほか、「サイゴン・ボディガード」と同じくマイケル・タイ(Michael Thai)氏が脚本を手掛けている。

前へ   1   2   3   次へ
[2019年1月16日 ベトジョーニュース A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 落合賢監督が手掛けたベトナム映画の2作目「パパとムスメの7日間(Hon Papa Da Con Gai)」が、日
 落合賢監督が手掛けたベトナム映画の2作目「パパとムスメの7日間(Hon Papa Da Con Gai)」が、韓
 「第14回大阪アジアン映画祭(Osaka Asian Film Festival 2019)」が、3月8日から17日まで開催される。同...
 落合賢(おちあい・けん)監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が、12月28日に公開
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」のプレミア試写会が
 落合賢監督の新作ベトナム映画「パパとムスメの7日間(Hon papa da con gai)」が、12月28日(金)
 日本人監督によるベトナム映画「サイゴンボディガード(Saigon Bodyguards)」。日本人として初めて、ベ...

新着ニュース一覧

 ホーチミン市教育訓練局はこのほど開いたセミナーで、市内の普通教育機関での休み時間中に携帯電話や電...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、長距離国際線の拡大を視野に、1
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 公共の場に自動体外式除細動器(AED)を設置するベトナム初の取り組みが始まった。心停止後の初動対応力...
 南部メコンデルタ地方ドンタップ省に住むファン・ゴ・ジエム・フオンさん(女性・18歳)には「我が家」が...
 インターネット接続の性能を評価するウェブサイト「スピードテスト(Speedtest)」を運営する米国のオー...
 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、米ボー
 ベトナムの決済アプリ大手「モモ(MoMo)」は、世界的保険グループであるチャブグループ(Chubb Group)傘...
 ホーチミン市当局は10月、ビンチュン街区(旧トゥードゥック市)のマイチート(Mai Chi Tho)通りに全長約5...
 KDDI株式会社(東京都港区)は11日、ベトナム郵便通信グループ(Vietnam Posts and Telecommunications Gr...
 株式会社多摩川ホールディングス(東京都港区)の孫会社である多摩川電子ベトナム(TAMAGAWA ELECTRONICS ...
 家具・建築用金物製造販売を手掛ける株式会社中尾製作所(三重県津市)は4日、東南アジア地域における販...
 ホーチミン市タンミー街区(旧7区)のサイゴンエキシビション&コンベンションセンター(SECC:799 Nguyen...
 ベトナム共産党政治局は、政治システムにおける職位・職務区分を改定する決定第368号-QD/TWを公布した...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
トップページに戻る