77歳女性の終活、「どれだけ生きるかよりどう生きるか」

2024/04/07 10:06 JST配信

 フオンさんは9人きょうだいの末っ子で、8年生(日本の中学2年生に相当)のときに学校を辞め、絵画の勉強を始めた。18歳のときに国営企業の経理部で働くようになったが、収入が低かったことから、結婚して1年後、24歳のときに身内の反対を押し切って退職した。

(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 「当時のお給料は、私は46VND、夫は73VNDで、子供を育てるには足りませんでした。でも、他でもっと稼げる自信があったので、会社を辞めることにしたんです」。

 フオンさんは、自宅で子供の世話をしながら刺繍をし、メンバー200人のほとんどが教員という刺繍毛糸協同組合を自ら設立した。国営企業の月給が30VNDだったのに対し、フオンさんは退職してから、社長クラスの給料の倍に相当する200VNDを毎月稼ぐようになった。

 1976年にベトナムの南北が統一されたころ、フオンさんはアオザイやドレスの仕立てを学び、数百人の従業員を抱える会社を設立した。「多かれ少なかれ、私は必ず収入の25%を貯金していました。私がまだ国営企業で働いていたとしたら、保険に加入するのと同じくらいの額です」。

 こうして、フオンさんは夫とともに、安定したキャリアを築けるよう、息子と娘2人を大学院まで行かせた。これで親としての務めは果たしたと感じたフオンさんは、子供たちを集めてこう言った。「今後、年老いて死ぬまで、あなたたちに経済的に頼ることはしません。ただ1つのお願いは、これからの時間を私自身のために生きる時間として使わせてほしいということだけ」。

 そしてフオンさんは、夫とも話し合い、これまでのように2人のお金を1つにまとめるのではなく、それぞれが自分のお金は自分で管理することにした。また、お互いがやりたいことを自由にできるということにした。

 3人の子供が手を離れたフオンさんは、50歳を過ぎてから初めて自動車の運転免許証を取得した。

 自分で自動車を運転できるようになると、かつて父方の祖父母が住んでいた土地を買い戻してそこに祖先の廟を建てようと考え、1人でハノイ市から北中部地方タインホア省まで出かけた。

 また、かつて両親が住んでいた土地も買ってそこに記念碑を建てようと考え、南中部高原地方ラムドン省ダラット市にも何度も通った。

 フオンさんは「どれだけ生きるかよりどう生きるかが重要だ」という信念のもと、自分自身のために日々を全力で生きてきた。身体がまだ元気だったころは、ベトナムの各地を旅行し、海外も10か国以上に出かけた。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:29 30/03/2024, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 毎週火曜日と金曜日の午前9時から11時まで、ホーチミン市ヒエップビン街区(旧トゥードゥック市の一部)...

新着ニュース一覧

 商工省によると、2025年におけるベトナムの輸出入総額は推定で約9200億USD(約144兆円)となり、過去最高...
 ベトナム建設省は19日、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間鉄道建設事業の第1サブプロジェクトの着工式を...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社...
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 軍事ウェブサイトのグローバル・ファイアパワー(Global Firepower=GFP)が発表した2025年版の世界軍事...
 ファム・ミン・チン首相は20日、ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)のレ・マイン・フン会長を...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、同社が開発を進めている西北...
 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は15日、ベトナムの新たなドローン産業団体であるベトナム低...
 電子機器・電気機械器具の製造・販売を手掛けるコーセル株式会社(富山県富山市)は、海外子会社(非連結...
 ベトナムで初となる軽量軌道交通(LRT)路線が19日、南部メコンデルタ地方アンザン省フーコック特区(島)...
 米国の調査機関World Population Review(WPR)が先般発表した
 ホーチミン市では現在、計1万8613台のタクシーが運行されており、このうち電気自動車(EV)が1万3124台で...
 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、「2025~2035年の外国語教育強化計画および2045年までのビジョン」...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)の副学長を務めていたグエン・ティ・...
トップページに戻る