毎週火曜日と金曜日の午前9時から11時まで、ホーチミン市ヒエップビン街区(旧トゥードゥック市の一部)リンドン通りにある「無料のピアノ教室」には、美しいピアノの音色が響きわたる。
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このピアノ教室は、チャン・ティ・トさん(女性・41歳)がもともとは子どもたちのために始めたものだが、今では年配の人々にとっての「眠っていた音楽の夢」を育てる場所になっている。
ホーチミン市チャインフン街区(旧8区の一部)在住のブイ・トゥアン・キエットさん(男性・71歳)は、「子どもの頃、ギターを少し弾いたことがありますが、ピアノは夢のまた夢でした。老後を迎えた今、こうしてピアノに触れることができて幸せです」と語る。
火曜日と金曜日の朝はいつも、キエットさんは自宅から17km離れた教室までバイクで通い、6年近くもこの習慣を続けている。キエットさんは、教室に最も長く通っているというだけでなく、初心者にも手取り足取り教えていることから、他の生徒たちに「クラス長」と呼ばれ、慕われている。
初心者の年配の生徒たちは、音符の読み方などの基礎から学んで、徐々に難易度を上げていき、一定期間の練習で1曲を演奏できるようになる。
マック・バン・ミーさん(男性・76歳)と、ダウン症の息子のマック・ダン・ムンさん(男性・37歳)にとって、この教室は単なるレッスンの場というだけでなく、父と子の絆を深める特別な場にもなっている。
教室がある日はいつも、父親のミーさんがムンさんをバイクに乗せて、自宅から15kmの距離を送迎している。ミーさんは、息子がピアノに夢中になっている姿をただ見守るだけでなく、息子と一緒に鍵盤を叩き、有意義な時間を共有している。