熱帯モンスーン気候帯に属し、雨季と乾季を有する。
地理 |
・ラオスとカンボジアに同時に接する唯一の地方。西はラオスとカンボジア、東は南シナ海に接している。 ・省都はハノイ市から900km、ホーチミンから800kmに位置する。 ・地形は西から東に向かうに連れ低くなっている。山岳が多く、沿岸部は小さい平野になっている。 |
歴史 |
■沿岸部分(旧クアンガイ省): ・元々チャンパ王国(主に南中部沿岸地方に当たる地域)に属していたが、1471年にレ(黎)朝による侵攻を受け、ベトナムに支配・併合された。チャンパ王国の国民は、現在ベトナム中部南端に住むチャム族の直系の祖先とされている。 ・ソンミ村虐殺事件:ベトナム戦争中の1968年3月16日に米軍兵が南ベトナムのクアンガイ省ソンティン(Sơn Tịnh)郡ソンミ(Sơn Mỹ )村ミライ(Mỹ Lai)村落の非武装のベトナム民間人504人(男149人、妊婦を含む女183人、乳幼児を含む子ども173人)を無差別に殺した大量虐殺事件。この事件はベトナム反戦運動のシンボルとなり、諸外国でも大きな批判の声が起こって米軍が支持を失うきっかけとなった。 ■高原部分(旧コントゥム省): ・チャンパ王国およびクメール王国に属する山岳民族の首長らにより治められた地で、当時の勢力図に基づいて何れかの支配下に置かれたが、ラオスの支配下にあった時期もある。12世紀にチャンパ王国により支配・併合されたが、その後も自治区体制が続いていた。1471年にレ(黎)朝の侵攻を受け、ベトナムに支配・合併された。 ・コントゥムは、バナ語で「コン=村」、「トゥム=湖」を意味する。ダクブラ川(Sông ĐắkBla)からの水が流れる湖畔にキン族が住み着く以前、バナ族の村があったことに因み、「コントゥム」と名付けられた。 ・高床式建築で有名なバナ族をはじめ、セダン族,、ジエトリエン族、ラグライ族など多くの少数民族が住む地。 |
経済 |
・チューライ(Chu Lai)空港とズンクアット(Dung Quất)深水港湾があり、国内初の製油所「ズンクアット製油所」が整備されている。 ・全長144kmの沿岸があり海産物にも恵まれているため、漁業が盛んで、多くの漁港がある。 ・ゴムやコーヒーなどの栽培に適した気候と土壌があるほか、チョウザメやサケの養殖も盛ん。 ・森林面積が大きく、高麗人参などの希少な植物があり、カンムリセイラン(キジ科)をはじめとした希少動物も生息している。 ・金、クロム、レアメタル、レアアースなどの鉱産資源に恵まれており、鉱産物採掘加工が発達している。 |
観光 |
<見所・イベント>
マンデン観光地(Khu du lịch Măng Đen):
コントゥム市から50キロのコンプロン(Kon Plông)郡にある。海抜1100メートルの高原に位置し、原生林に覆われており、トーンダム湖(Hồ Toong Đăm)、ダッケー滝(Thác Đăk Ke)、パーシー滝(Thác Pa Sỹ)、コンプロン森林(Rừng Kon Plông )など多く観光スポットがある。「第2のダラット」とも呼ばれる。
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コントゥム大聖堂(Nhà thờ chính tòa Kon Tum):
1913年に貴重な木材で建設された大聖堂で、コントゥム市中心に位置する。ヨーロッパのローマ建築とバナ族の高床式建築の両方を取り入れた独特の建築様式となっている。
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コントゥム大司教館(Tòa giám mục Kon Tum):
コントゥム市のチャンフンダオ通りにある司教館(司教公邸)。1935年に建設が始まり、1938年に完成した。広い敷地を持ち、高い塀で囲まれている。洋風建築と少数民族の伝統建築が融合した設計となっており、同省の貴重な木材で建てられている。
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チューモムライ国立公園(Vườn quốc gia Chư Mom Ray):
コントゥム市から西に約55キロ、サータイ(Sa Thầy)郡とゴックホイ(Ngọc Hồi)郡に跨る。面積は4万8658ヘクタール。
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サーフィン文化遺跡:
サーフィン(Sa Huỳnh)文化は、紀元前1000年頃にベトナム中部で栄えた文化。その頃、ベトナム北部でドンソン(Đông Sơn)文化が栄えていた。中国やインドの影響を受けたサーフィン文化は、東南アジアの各地に広がる金属器文化。ベトナムでは、クアンガイ省ドゥックフォー(Đức Phổ)郡で遺跡が発見されており、出土品は台湾、フィリピン、タイ西部のものと酷似している。マレー系のチャム文化とも深い関係を持つとされている。
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リーソン島(Đảo Lý Sơn):
ビンソン郡沖にある小島で、漁業とニンニク栽培が盛ん。同島のニンニクは小さく特徴的な辛味を持っていることで有名。
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<特産品>
カン酒(Rượu cần):
漢方薬、ショウガ、ガランガルなどを酵母に、トウモロコシ、キャッサバ、もち米などの穀物を醗酵させた酒。壷のような入れ物に「カン」と呼ばれる葦のストローを刺して飲む。
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コム・ラム(Cơm lam):
竹筒に米(もち米)とココナッツ、ココナッツミルク、ゴマなどを詰めて焼いた料理。
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ラウ・ラー(Lẩu lá):
10種類の山菜を使った鍋で、蒸しイノシシやエビなどと一緒に食べる。
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ゴイ・ラー(Gỏi lá):
40種類もの山菜をふんだんに使う。肉、エビ、豚皮に、コショウ、塩、グリーンチリといったスパイスを塗して山菜で巻き、麦汁や卵などで作られたタレにつけて食べる。
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チャー川のアカウオ(Cá Bống Sông Trà):
ヌックマム(魚醤)や砂糖、唐辛子で煮た甘くて辛いアカウオ料理。
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ケオ・グオン(Kẹo gương):
焼いたゴマと砕いたピーナッツを表面にふんだんに振りかけた琥珀色の砂糖菓子。
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リーソン島のニンニク:
小さく特徴的な辛味を持っている。 |
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クアンガイ省関連ニュース |
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最終更新日:2025年7月1日
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