- 新世代NCMバッテリーを生産
- 26年初めに着工、投資総額67億円
- 初期の年産能力は100万kWh見込む
大手長距離バスのフタバスラインズ(Futa Bus Lines、Phuong Trang=フオンチャン)傘下で自動車製造を手掛けるキムロン・モーターズ(Kim Long Motors)は28日、韓国の多国籍財閥LGグループ傘下で世界有数の電池メーカーであるLGエナジーソリューション(LG Energy Solution)との間で、新世代NCM(ニッケル、コバルト、マンガン混合)バッテリーの供給に関する提携覚書(MOU)を締結した。
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新世代NCMバッテリーは、高い安全性と低い発火リスクに加え、従来のLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーに比べて小型かつ軽量で、エネルギー効率も30%以上向上している。使用時間や航続距離も長く、次世代の電気自動車(EV)バッテリーとして注目されている。
今回の提携では、LGエナジーソリューションがバッテリーセルを供給し、キムロン・モーターズがバッテリーパックの製造・組立を担当する。両社は今回の提携を通して、ベトナム国内でのEV生産体制強化とサプライチェーン確立を目指す。
バッテリー工場は2026年初めに、北中部地方フエ市のチャンマイ・ランコー経済区にある自動車専門工業団地キムロン・モーターズ・フエ工業団地で着工する予定。敷地面積は9ha、投資総額は1兆2000億VND(約67億円)。国際基準に準拠した工場として、プレス、溶接、組立、梱包までの一貫生産体制を構築し、自動化率約90%を実現させる。
初期の年産能力は100万kWhを見込む。将来的な増産も視野に入れており、EV向けバッテリーの安定供給に加え、ベトナムがバッテリーおよびEV分野のグローバルバリューチェーンに参画する基盤づくりを目指す。
キムロン・モーターズのホー・コン・ハイ社長は、「バッテリーはEVの心臓であり、中核技術を自社で保有することが持続可能な成長には不可欠。LGとの提携により、供給の安定化、コスト最適化、品質管理が可能となり、ベトナム製EVの競争力を高める」と述べた。