金融市場:商業銀行セクター
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1990年代までのベトナムでは、金庫・たんす預金や現金決済が主流で、金融仲介機能は限定的だった。しかし2000年代に入ると商業銀行の近代化が進み、企業間取引の多くが銀行経由へ移行した。これに伴い、2000年代以降は与信取引が拡大し、金融面から経済成長を下支えする構造が形成された。

■2000年代:信用拡張の急加速と副作用
2000年代には信用供給が急拡大し、2007年には貸出残高の伸び率が前年比+51.4%と過去最高に達した。高成長局面で金融緩和が進んだ結果である一方、インフレ圧力や金融リスクを内包する構造も生じた。
■2010年代以降:危機後の調整と安定性重視への転換
世界金融危機と国内マクロ不安定化を受け、2011~2012年にかけて信用成長は抑制局面に転じた。銀行再編と不良債権処理が優先され、量的拡大から金融システムの安定性を重視する方向へ政策の軸足が移った。
2013年以降、貸出残高の増加率はおおむね+13~19%の範囲で推移し、GDP成長率と整合的な水準に落ち着いた。中央銀行による信用成長枠管理が定着し、安定を維持しながら成長を支える枠組みが機能している。
■2025年の信用動向と金融政策
中央銀行によると、2025年末の貸出残高は前年末比+19.0%増の1京8580兆VND(約110兆円)となった。貸出拡大の主因は低金利環境の維持にあり、中央銀行は政策金利を据え置き、金融機関の調達コストを抑制しつつ、貸出金利を低水準に保つ方針を継続した。
2025年11月30日時点における新規貸出の平均金利は年6.96%と、2024年末とほぼ同水準で推移した。貸出残高を拡大しながら低金利を維持する運営が、年間を通じておおむね実現された形だ。
2025年の貸出拡大により、同年のGDPに対する貸出残高比率は145%に達し、同格国を大きく上回る水準となった。これは短期的には経済成長を下支えする効果がある一方、中期的には国家信用力に対する制約要因となる可能性もはらむ。
■銀行再編と金融システム強化
中央銀行は2025年、いわゆる「0ドン銀行」3行と特別監督下の1行の強制移管を完了した。対象は、◇オーシャンバンク(OceanBank)、◇ベトナム建設銀行(CBBank)、◇GPバンク(GPBank)、◇ドンアバンク(DongA Bank)。中央銀行が指定した商業銀行へ出資分を移転する制度だ。顧客の預金や契約上の権利は保護されている。
一方、特別監督下の金融機関としてサイゴン商業銀行(SCB)が残る。中央銀行は資産回収と再編を軸に、透明性と法令順守を重視した対応を進めている。
■金市場改革と金融安定
2025年、国家による金地金製造の独占が撤廃された。条件を満たす銀行・企業に対し、金地金の製造と原材料の輸入を認める一方、取引データ整備と中央銀行との情報連携を義務付けた。
背景には、国内金価格が国際価格を大きく上回る状態が長期化してきたことがある。中央銀行は、供給拡大と取引管理の強化を通じて市場安定化を図る方針だ。



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