熊本市で21日~26日まで「第20回記念九州音楽コンクール」が開催され、声楽部門の大学生クラスでベトナム人の学生2人がそれぞれ金賞と銀賞に入賞した。同コンクールは参加者の演奏技術の向上と地域社会の音楽文化の発展を目的としており、今回で20回目を迎えた。
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参加者は国内外の幼児から一般までの幅広い年齢層にわたり、ピアノや弦楽器、管打楽、打楽器、電子オルガン、声楽の部門で日頃の練習の成果を発表した。
声楽部門ではベトナム国立音楽院(旧ハノイ音楽院)からバスのファン・チュン・キエンさんがオペラ「ドン・カルロ」のジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)作曲「淋しくも眠らなん(Dormiro sol nel manto mio regal)」を歌唱し、金賞を受賞した。
同じくベトナム国立音楽院から声楽部門に出場したソプラノのライ・ティ・フオン・リーさんは銀賞を受賞した。
キエンさんはベトナム国立音楽院の2年生で、声楽学部長のド・クオック・フオン博士のもとで声楽を学んでいる。幼少の頃から音楽が好きだったキエンさんは両親の勧めでオルガンやピアノを習っていたが、2013年に高校を卒業すると同院に入学し声楽に転向した。
キエンさんは2017年8月に香港で開催されたアジア太平洋地域のコンクールで金賞を受賞、同年10月には南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市で開催された全国文化芸術学生コンクールで第1位を獲得している。最近ではザン・ソンが作詞・作曲を手掛けた「Ha Noi Muoi Hai Mua Hoa」のミュージックビデオで広く知られるようになった。
日本に発った当日にキエンさんの父方の祖父が亡くなり、両親はそのことをキエンさんには伏せていた。翌日、日本に到着して両親とビデオ通話をすると喪服姿が映り、キエンさんは祖父を想うと涙が止まらなかったが、必ず良い結果を持ち帰ろうと決意したという。「この結果をまずは祖父に報告したいです」とキエンさんは語った。