南中部クアンナム省タンビン郡ハーラム町で暮らす男性レ・バンさん(55歳)は、先立った妻のことが忘れられず、その遺体を石こうや粘土で固めて作った人形と暮らしている。
バンさんの妻サンさん(享年46歳)は2003年2月に亡くなり、自宅から1キロメートルほど離れた墓地に埋葬された。しかしバンさんは妻を恋しく思うあまり、毎夜妻の墓の傍らで眠り、さらには墓の横に穴を掘ってそこで眠る生活を続けていた。これだけでは満足できなくなったバンさんは2004年11月、サンさんの遺体を掘り返して自宅に連れて帰り、石こうや粘土で固めて生前の妻を模した人形像を作り上げた。バンさんは人形像に服を着せ化粧を施して毎晩同じベッドで眠るようになったという。
最初はバンさんの行動を気味悪がっていた近所の人たちも、そのうち慣れてしまったという。ハーラム町人民委員会の幹部は「2004年にこの話を知り、バンさんに奥さんの遺体を墓に戻すよう一度説得した。バンさんは仕事や社会活動に熱心に取り組んでおり、精神面にも変わった兆候はない」と話している。
世論は、この人形像の中に本当にサンさんの遺体があるのかどうか、あるとすれば墓への埋葬を強制できるかどうかに関心を寄せている。