ヒエップタインバスターミナル(ホーチミン市12区)~ミエンドン(東部)バスターミナル(同ビンタイン区)間を走る146番のバスの中に1台だけ異様なバスがある。車内には100体以上のぬいぐるみが飾られており、何ともメルヘンチックなバスとなっている。
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ぬいぐるみバスを運転しているのはファム・ゴック・トゥエンさん、車掌を務めるのはファム・バン・サンさん。2人は以前からの親友で、2年前から146番の路線バスで一緒に働いている。
車掌のサンさんは、よく親戚の子供にぬいぐるみを贈っていた。2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行してバスの運行本数が減少し、休みが増えたことがきっかけで、サンさんはUFOキャッチャーにはまり、通い詰めて技を磨き、達人級の腕前となった。
この1年間でたくさんのぬいぐるみをゲットし、サンさんは戦利品をバス内に飾ることにした。バスに飾られたぬいぐるみは約100体で、フロントガラスの内側に鎮座しているだけでなく、つり革のポールにも多数括り付けられている。
ぬいぐるみが定員オーバーにならないよう、常連客や子供、学生にあげることもあるという。ラッシュアワーには、車内でぬいぐるみが当たるゲームやチケットによるラッキードローを開催して乗客のストレス解消に努めている。
「運転手や車掌の仕事は日々のストレスも多いが、乗客が喜んでくれると、自分たちのストレスも和らぐ」と語るサンさん。もはや仕事の相棒であるぬいぐるみたちを乗せるようになって以降、2人は以前より頑張って車内の掃除を行うようになったという。
UFOキャッチャーの1回の料金は1万VND(約47円)。サンさんは、「タバコは吸わないし、コーヒーも自分たちで淹れている。UFOキャッチャーの料金を払うくらいなら全然苦にならない」と話した。