ベトナム労働安全衛生科学技術協会と農業農村開発省が4日に開いた「農業従事者の労働安全衛生の現状」をテーマとするセミナーで、農民の置かれた危機的状況が明らかになった。
ベトナム農民協会の調査によると、農民にとっての最大の問題は化学肥料や農薬の乱用で、農民自身が化学物質乱用の被害者になっているという。耕作面積一単位当たりの農薬使用量は、ホン川(紅河)デルタ地帯で許容量の2.81倍、メコンデルタ地帯では3.71倍に達している。
また、ハノイ国家大学の調査によると、日常的に農薬と接している人は全国で約1500万~2900万人いるとみられ、このうち約70%に農薬による中毒症状がみられるという。保健省によると、農薬中毒による死亡は、死亡原因として4番目に多い。
こうした現状があるにもかかわらず、農民の多くは農薬の危険性や毒性を正しく認識しておらず、農薬散布時にマスクや手袋などを着用していない。また、収量を増やすために農薬を乱用する農家も依然として多い。労働安全衛生科学技術協会のディン・ハイン・トゥン博士は、農民の労働安全衛生に関する政策を強化する必要があると指摘した。