10月から11月にかけて台風や熱帯低気圧の影響で多くの自然災害に見舞われたベトナムの中部各地で、危険性の高い類鼻疽(るいびそ、グラム陰性桿菌である類鼻疽菌感染を原因とする人獣共通感染症)が流行している。
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北中部地方トゥアティエン・フエ省フエ市にあるフエ中央病院では、10月上旬から11月中旬までの1か月半だけで28人もの患者を受け入れている。患者は同省の住民が半数で、残る半数は同じく北中部地方のタインホア省、ハティン省、クアンビン省、クアンチ省などに住む人々だ。
同病院では、2014年~2019年の間に受け入れた類鼻疽患者数は83人、2020年1~9月期に受け入れた患者数は11人程度だったため、10月以降に急増していることが分かる。
中部で類鼻疽が流行している背景には、10月以降の豪雨により各地で洪水が発生し、生活環境や畑仕事などの作業環境が悪化したことがある。感染経路には、類鼻疽菌に汚染された土壌や水に直接接触したことによる皮膚損傷部からの感染、汚染水の経口感染などがある。
類鼻疽菌に感染すると、全身の諸臓器に膿瘍を形成し、敗血症性ショックをきたすことが多い。医療機関で適切な検査を行われなければ、誤診されて症状が悪化してしまう危険性もある。
フエ中央病院は、ベトナム国家大学ハノイ校傘下の微生物学バイオテクノロジー研究所と協力し、「ELISA法」を用いた検査を充実させる形で検査能力を強化する方針を示している。