ホーチミン市3区のファム・ディン・トアイ通りに、カフェ「Dom Dom Luciola」はひっそりとある。ここはインターネットセンターの一つのモデルであり、視覚障害を持ちながらインターネット通信技術を学ぶ人々が集う場所だ。
「Dom Dom Luciola」という名前は、一人のボランティアが考えついた。Luciolaという蛍の種はオスとメスがかなり平等で、メスが生殖機能だけを持ち飛ぶことができない他の蛍の種と異なる。視覚障害者が、夜道を照らす蛍の光のように、平等な社会を、そしてよりよい学習や就業の機会を創りだすことができればと、サオマイ視覚障害者通信技術センターのダン・ホワイ・フック・センター長は、その名前に込められた願いについてこう語る。
センターはホーチミン児童障害者支援会に所属し、視覚障害者が通信技術の学習を通じ、学校、職場における機会向上を目的に設立された。設立から今日まで、センターの資金は国内外の助成金制度でまかなわれている。しかし最近では、助成金の獲得が厳しくなってきているという現状にぶつかっている。そこで安定した財政基盤を築くため、ボランティアによるカフェを開き、センターの活動に資金を供給することにした。また、センターの活動を広く知ってもらい、視覚障害者たちが音楽活動をしたり、歌手や音楽家と知り合う機会を作りたかったというのもある。毎週金曜日の夜には、視覚障害者自らが演奏する音楽会が開かれるという。
カフェがオープンして1ヶ月が過ぎた。設計から建設までほぼボランティアの手で行われた。建設のための資金は、ONNETやICEVIなどの海外の視覚障害者支援団体に所属するフック氏の友人たちが出資してくれたという。フック氏個人も出資した。「将来の目標は視覚障害者のための楽譜を作ることです。音楽は他の分野に比べて、コンピューターの助けがあれば視覚障害者でもアクセスしやすいものだから。」フック氏はこう語った。