バンコクの越レストラン店主は元FBI特別捜査官

2011/01/09 08:14 JST配信

 タイの首都バンコクのトンロー通りにあるベトナムレストラン「スアンマイ」は、本物のベトナム料理を味わえる店として評判が高い。この店に来る客たちは、料理もさることながら、この店の女性経営者メユン・ロブソン(ベトナム名:ミー・ズン)の数奇な人生の話を聴くのを楽しみに来るのかもしれない。ミー・ズンは元ミス・サイゴンで元FBI(米国連邦捜査局)特別捜査官だったという。

(C) Dat viet, NPR
(C) Dat viet, NPR

 ベトナムで生まれ育ち、解放前のサイゴンの大学で法律を学んでいたズンは1970年、大学の教員に勧められて美人コンテストに参加し、ミス・サイゴンに輝いた。ちょうど20歳の時だった。ズンは1975年初頭に家族と共に米国に移住し、ニューヨーク大学で法律の勉強を続けていた。そこで偶然FBI職員と知り合いになり、FBIでの資料の翻訳や通訳の仕事のボランティアを志願。この仕事が面白くなり、FBIへの入局を申請する書類をワシントンに送った。

 しかし入局の許可はなかなか下りなかった。ズンは毎日のように電話をかけたりFBI長官宛てに直接手紙を出したりして就職運動を行い、3年後の1978年4月にようやく入局が認められた。FBIに入局した初めてのベトナム人だったという。ズンは通訳としての仕事しか考えていなかったが、FBIはズンを特別捜査官に任命した。

 それからの訓練は大変だった。特別捜査官になるには、16週間にわたる厳しい訓練を受けなければならない。これには軍事訓練のような体力テストや射撃も含まれる。射撃訓練は、室内、空中、暗闇、霧の中、雪の中など様々なシチュエーションの厳しい条件のもとで行われた。

 訓練を無事終えたズンは犯人追跡の仕事に携わったが、何度危険な目に逢ったか分からない。「特別捜査官の仕事は常に死と隣り合わせ。特に海外での任務の場合はそのリスクが高い。私は幸運にも任務を果たすことができた。アジア人女性の一見弱々しそうな外見が、犯人を油断させたのかもしれないわ」とズン。

 20年間FBIの特別捜査官として働き、その後バンコクの米国大使館に勤務、2004年に退職した後は好きな料理の道に進むことを決め、彼女の娘スアン・マイとともにバンコクでベトナムレストランを開店した。ズンは話し好きで、喜んで料理の説明をしてくれる。FBI捜査官時代の話も聴けるかもしれない。(敬称略)

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