5か国語を操る88歳の老婆
(C) thanhnien, Linh San |
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1928年生まれのチャン・ティ・ディンさんは、ホーチミン市1区のファングーラオ通りとチャンフンダオ通りの交差点にあたる9月23日公園の向かい側の路上で、38年間飲み物を売り続けている。
ホーチミン市には、人々を驚かせる事実がたくさん隠されている。その1つが、この腰の曲がった88歳のお婆さんが、5か国語を操るということだ。ディンさんの小さなお店の前を通ると、はじめはベトナム語で呼び掛けられ、続いて英語、フランス語、カンボジア語、更には中国語でも話しかけられるので、驚いてしまう。
ディンさんの飲み物屋は1区の中心部に位置しており、たくさんの外国人観光客が行き来する。複数の言語を知っているということが特別な利点となり、ディンさんのお店には客がたくさん集まった。
外国語習得の方法
多くの人はディンさんについて、飲み物屋が開店してから38年間、客の大多数を占める外国人に対して日々接客をしながら、見よう見まねでいくつもの外国語を習得することができたのではないかと考えている。
しかし、実際は違う。飲み物屋を開店する以前、ディンさんは様々な仕事を経験した。そして、それぞれの仕事で外国語が必要だったのだ。
「私は以前、米国人女性とフランス人女性のために美容の仕事をしていたので、英語とフランス語が必要でした。それから、私の故郷はカンボジアとの国境に近いメコンデルタ地方タイニン省チャウタイン郡のベンソイで、家族がカンボジア人を雇っていたので自然に彼らの言葉を覚えていきました。サイゴンでは、家族でディエンビエンフー通りに暮らしていたので、中国人と商売をすることが多く、それで中国語も覚えました」とディンさんは教えてくれた。
ディンさんの勤勉さには、多くの人々が感服する。中国語、英語、フランス語、カンボジア語の他に韓国語を勉強したこともあるというが、「韓国語は難し過ぎてマスターできませんでした」とディンさんは笑いながら話してくれた。
語学力を活かして
その語学力で、ディンさんはお店の近くにいるバイクタクシー、飲み物売り、果物売りの人々と外国人観光客と間の通訳もしている。また、ホーチミン市に慣れていない観光客に道を教える案内役もしている。
「What do you buy?(何を買いたいの?)」「Coffee, Coca or Water?(コーヒー?コーラ?お水?)」といった接客から、「Fifteen(Fifteen thousand=1万5千VND=約73.1円)」などの会計、「Ben Thanh market over there(ベンタイン市場は向こうだよ)」といった道案内まで、ディンさんにとってはとても簡単な会話だ。