レ・フオック・ティエットさんは、南中部沿岸地方クアンナム省ダイロック郡アイギア町の自宅から同地方ダナン市内の大学まで、片道40kmの道のりを路線バスで2年間休まず通い、このほど修士号を取得した。ティエットさんはなんと83歳で大学院へ行くことを決意し、85歳で修士課程を修了した。
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ティエットさんは、髪は白いが目は眼鏡に頼らずともよく見えるという。ティエットさんは深みのある声で、自身が歩んできた人生について語った。
貧しい家庭に生まれ育ち、13歳の時に家族の元を離れて旧制中学校へ進学したティエットさん。ところが、戦争や家庭の事情で学業の道は閉ざされてしまった。
それでもティエットさんは学業に対して志を抱き続け、70歳の時に米国の大学で学士号を取得。さらに2016年には、ダナン市のズイタン大学で経営学の修士課程に願書を提出した。
80代でさらに高みを目指し進学する人はそういないだろうが、ティエットさんが大学院進学に至った背景はこうだった。
3年前に愛妻に先立たれ、寂しさを紛らわすために勉強に打ち込もうと決意したのが大学院進学のきっかけだった。大学へ通うようになっても、がらんとした部屋に帰宅すると哀しみが押し寄せたが、誰でも通る道だと自分に言い聞かせた。同じ哀しみの時間を過ごすなら、より良い時間にしようと決めたのだった。
願書を提出するも、子供や親類からは「大変だから家にいるように」と進学を反対する声ばかりだった。しかし、誰かに強いられるのではなく、自分の希望で大学院に通いたいのだとティエンさんの意思は揺るがなかった。