ベビーリフトで米国へ、母親との再会を夢見るベトナム出身の女性

2022/11/20 10:03 JST配信

 情報を交換した数日後、早速ホンさんはDNA鑑定のために自分の髪の毛と爪をベトナムに送った。結果を待つ数日間、眠れない夜を過ごしたが、鑑定結果は不一致で、ホンさんの希望は打ち砕かれた。

(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 「私は泣きたい気持ちとそうでない気持ちの半々でした。母を見つけることができればもちろん嬉しいですが、不一致の結果でも、彼らの子供を見つける手伝いをするつもりです」とホンさん。

 少し前に、ホンさんの義理の娘が米国からベトナムに来て、かつてホンさんが捨てられていたマンションや孤児院を再訪して調査を行った。ホンさんも母親を探す手がかりをつかむため、より多くのベトナムのメディアで自身の話を公開したいと希望している。

 ホンさんは母親を探すにあたっての追加情報として、自身の左耳たぶの下にあざがあること、また遺伝子分析によると中国の血が若干入っているため、母親の血統は中華系である可能性が高いことも明らかにしている。

 ホンさんにとって、母親を見つけたいという思いは日に日に増し、特に父親を見つけてからはさらにその気持ちが強くなっている。物理的な距離は4000kmも離れているが、ホンさんは時間を作っては頻繁に父親に会いに行っている。

 ホンさんの父親は戦争の後遺症で身体が弱っている。しかし、2人の息子たちによれば、もともとあまり笑うことのない父親が、ホンさんが来るときはいつも嬉しそうなのだという。

 50年以上生きてきて、自身も子供がいるホンさんは、自分を捨てた母親を責める気持ちはないと話す。彼女はただ母親を見つけ、米国に迎え入れて老後の面倒を見たいと考えている。

 「幼い頃から母を探し続け、いつも母の夢を見ては泣いていました。大きくなればなるほど母の存在が恋しくなりました。歳を取るにつれ、自分の中に流れているアジア人の血について考えるようにもなりました」とホンさんは語る。

 「長い間、私の心にはぽっかりと穴が開いていました。父を見つけることができても、その穴は半分しか埋めることができていません。母を見つけた時に、その穴を完全に埋めることができるのだと思っています」とホンさんは付け足した。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 06:16 20/10/2022, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を...
 米国メイン州スカボローに住むリー・ボートン・スモールさん(女性・47歳)は、44年前に生き別れになった...
 オーストラリア在住のシャンタル・デエクさん(女性)は今から40年前、米軍の「オペレーション・ベビー...
 15日午後、ベトナム戦争終結直前の1975年4月2日に、いわゆる「ベビーリフト作戦」によりワール...

新着ニュース一覧

 2025年におけるホーチミン市の域内総生産(GRDP)成長率は+8.3%と推定され、ベトナム経済の牽引役として...
 ファム・ミン・チン首相は21日、国際金融センター(IFC)の設立を発表した。この設立は、世界の資本や技...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 地場ドジ・ジュエリー(DOJI Group)は19日、北部紅河デルタ地方ハイフォン市で複合区「ドラゴン75コンプ...
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 ホーチミン市内のガソリンスタンドでは、QRコードを使った振込決済が拡大しており、給油時の利便性向上...
 海外市場調査や海外事業伴走支援などを手掛けるシンガポールのグローバルアングル(GLOBAL ANGLE)は、ハ...
 商工省によると、2025年におけるベトナムの輸出入総額は推定で約9200億USD(約144兆円)となり、過去最高...
 ベトナム建設省は19日、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間鉄道建設事業の第1サブプロジェクトの着工式を...
 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社...
 軍事ウェブサイトのグローバル・ファイアパワー(Global Firepower=GFP)が発表した2025年版の世界軍事...
 ファム・ミン・チン首相は20日、ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)のレ・マイン・フン会長を...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、同社が開発を進めている西北...
 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は15日、ベトナムの新たなドローン産業団体であるベトナム低...
 電子機器・電気機械器具の製造・販売を手掛けるコーセル株式会社(富山県富山市)は、海外子会社(非連結...
トップページに戻る