今年で52歳になるチャン・ティ・ランさんとグエン・ティ・ホン・レさんは双子の姉妹だが、生まれて間もなく別々のところに引き取られた。生き別れた2人が今から20年ほど前にようやく再会できたように、2人は50年以上の時を経て、実の母親と再会することを夢見ている。
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2023年6月中旬ごろ、双子の姉のランさんと妹のレさんは、生まれてすぐに自分たちを捨てた実の母親を探すため、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にメッセージを投稿してほしいと娘に頼んだ。
そのメッセージに、姉妹はこう綴った。「どうして私たちが今までお母さんを探そうとしなかったのか?その答えは、50年以上経ってようやく、生まれてすぐに私たちを捨てたあなたたち両親を許せるようになったからです。もしも神様がこの世で会わせてくれないとしても、2人が私たちのことを1度でも思い出してくれたなら、私たちは幸せに生きているからどうか安心してください」。
現在は夫と子供たちと共に幸せな生活を送っている姉のランさんだが、自分の出自のことを考えない日などこれまで1日もなかった。孤児院での暮らしを経て、養子としていくつかの家庭に引き取られた後、最終的に南部メコンデルタ地方ティエンザン省カイベー郡のカムさん夫妻の養子となり、実の子供のように可愛がられて育った。しかし、養父母もランさんが生まれた場所や実の両親の名前など、何も知らなかった。
「養父母は実子と私を区別することなく育ててくれました。それでも私は自分の出自がわからず、いつも悲しい気持ちでいました」とランさん。ランさんは、自分のくせ毛や特徴的な声は誰から受け継いだものなのか、きっと一生わからないのだろうと考える時期もあったという。
しかし、ランさんの居場所から300km以上離れた東南部地方ドンナイ省カムミー郡ソンザイ村に暮らす妹のレさんは、その答えを知っていた。レさんが16歳の時に、レさんの養母は、レさんは南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市の病院で生まれたこと、そしてレさんには双子の姉がいることを教えてくれたのだ。
1970年か1971年のこと、レさんの養母は、当時お腹の中にいた子供を中絶した。ちょうどその時、出産した双子を養子に出したいという16歳の少女がいることを偶然知り、1人を引き取ることに決めた。
より元気そうな姉の方を引き取るつもりでいたものの、いったん病院から自宅に戻って荷物をまとめている間に、姉は他の人に引き取られていた。そこで、妹の方を家に連れて帰ることにし、実母から出生証明書を受け取ったのだった。その後、慌ただしい生活の中で出生証明書は紛失してしまったというが、養母が話してくれた話を今でもレさんは覚えている。