【第57回】ベトナム人が利用している人気のアプリは?(2023年版)

2023/03/21 10:00 JST配信

ここ数年でベトナム人のスマホアプリの使い方は大きく変化してきました。以前は情報収集がメインだったのですが、コロナ禍を経てその利用方法はショッピングや支払い、勉強、健康管理など多岐に渡るようになりました。今回私たちは、モバイルアプリの使用状況を追跡するiOSの「スクリーンタイム」機能を利用して、どのようなモバイルアプリをどのくらい利用しているのかの調査を行いました。「スクリーンタイム」機能では、モバイルアプリの過去1週間の利用時間を追跡することができます。

1日あたりのスマホ利用時間は6.2時間

ベトナム人は1日に平均6.2時間をスマートフォンに費やしています。当社では本調査を毎年行っているのですが、コロナ禍でリモートワークやオンライン学習などを強いられていた昨年と比較すると利用時間はわずかに減少しています。特に若者の間での利用時間は長めです。一方で、1週間に利用しているアプリの数は平均20.5アプリでした。皆が多く利用しているアプリベスト10は下記の通りで、ソーシャルメディア・メッセージングアプリが中心です。

これだけ様々なアプリを利用している一方で、日常的に利用しているアプリはいくつかのアプリに集中しています。ベトナム人消費者はスマートフォンアプリの利用時間の約2/3をFacebook、Zalo、TikTok、Messenger、そしてYouTubeの5つのモバイルアプリだけに費やしています。特にFacebookは利用時間で最も利用されているアプリとして君臨しており、Facebookが世界的に人気がなくなって久しいことは噂されていますが、ベトナムではこのトレンドは当てはまらないようです。

2023年の3つのトレンド

本調査では多くの面白い発見がありましたが、その中から2023年の3つの主要なトレンドをピックアップしたいと思います。

一つ目のトレンドはTikTokの人気です。動画カテゴリーでは、YouTubeのユーザー利用割合はTikTokよりも多いものの、利用時間で見るとTikTokに費やす時間はYouTubeの倍以上となっています。この結果はTikTokのコンテンツにどれだけ中毒性があり、ベトナムのユーザーを強く引き付けている様子を示唆しています。特にTikTokは10代後半から20代前半の若者に人気があり、多くの企業がTikTokをマーケティングに利用する背景となっています。

2つ目のトレンドは、PC-Covidアプリの利用者がほぼいなくなった点です。Covid-19によって私たちの活動が制限されてからしばらく経ちましたが、現時点ではコロナ関連アプリを利用している人はほぼ0となりました。このアプリの利用状況からもコロナはベトナムでは既に過去の出来事であったことが伺えます。

最後のトレンドは、アプリ利用の多様化です。例えば、57%がオンラインショッピングアプリを、42%がライドシェアやデリバリーのアプリを利用しています。その中でも最も大きな変化は決済やオンラインバンクのアプリで75%の人が何かしらのアプリを利用していました。それぞれのカテゴリーでの競争も激化しており、例えば、ライドシェア・デリバリーのアプリではGrabが独占的なポジションを勝ち取る中、GoJek、ShopeeFood、Be、Baeminなどとのシェア争いも激化しています。また、モバイル決済アプリではMomoの利用度が断トツである一方で、銀行系のオンラインアプリの利用も増えています。以前は現金志向の国として知られていたベトナムですが、最近の数年間でベトナム人が金融を管理する方法は劇的に変化しました。

アプリの多様化によって、ベトナムでの生活の多くがデジタルによって便利になっています。今後もこの傾向は進む一方で、デジタル事業者の淘汰も進むのではないかと予想されます。

著者紹介
株式会社Asia Plus代表取締役社長 黒川賢吾

株式会社Asia Plus ( www.asia-plus.net )代表取締役社長。
NTT、ソニー、ユニクロにて海外マーケティングを担当。
2014年にAsia Plusを設立しベトナムマーケットリサーチサービス
「Q&Me( www.qandme.net )」を展開中


統計から見るベトナム
その他の記事はこちら>
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

新着ニュース一覧

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)のファム
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は22日、ベトナムのテクノロジーユ
 電子商取引(eコマース=EC)データを手掛けるメトリック(Metric)が発表した最新レポートによると、2024...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 「幼いころからホーチミン市で暮らしてきた私たちきょうだいがここまで生きてこられたのは、ご近所さん...
 ベトナム・ブロックチェーン協会(VBA)加盟のブロックチェーン技術・人工知能研究所(ABAII)は24日、ブロ...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 不動産仲介業の世紀不動産[CRE](Cen Land)を子会社に持つ地場世紀グルー
 2024年1~9月期にベトナムから海外に派遣された労働者数は11万3896人で、前年同期から微増となり、年間...
 労働傷病兵社会省はこのほど、各方面への意見聴取を経て、2025年のテト(旧正月)(旧暦1月1日=新暦2025...
 商工省傘下の電子商取引・デジタル経済局(IDEA)によると、ベトナムでサービスを開始した中国発の越境電...
 ファム・ミン・チン首相は、ロシアのカザンで22日から24日まで開催されたBRICS首脳会議に出席し、現地...
 米国の組織・人事コンサルティング会社マーサー(Mercer)と投資専門家の世界的な団体であるCFA協会は、...
 森永乳業株式会社(東京都港区)のグループ会社である森永ニュートリショナルフーズ・ベトナム(Morinaga ...
 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)はこのほど、インドネシアの国営航
 ベトナム商工連盟(VCCI)ホーチミン市支部(VCCI-HCM)とベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)は、11月20...
トップページに戻る