- ベトナム農業学院傘下の各センターと覚書
- 土壌炭素貯留能力を高め、土壌構造を改善
- 化学肥料の使用量削減に貢献
カーボンクレジット創出販売や農業、環境などの事業を手掛けるGreen Carbon株式会社(東京都港区)は、ベトナム農業学院(VNUA、ハノイ市)傘下の有機農業推進・研究センターと職業訓練・実験センター、およびベトナム農業遺伝学研究所(AGI)と連携し、カバークロップとして大豆を活用した土壌炭素貯留農法(カーボンファーミング)導入によるカーボンクレジット創出の共同実証を開始した。
![]() (C)Green Carbon |
同プロジェクトは、国際的なカーボンクレジット基準であるベラ(Verra)の方法論「VM0042」に基づき、農業土壌への炭素貯留と持続可能な農業の推進を目指すもので、2025年5月より北部紅河デルタ地方ナムディン省(7月にニンビン省、ハナム省と合併)の実験圃場で実証を開始した。
Green Carbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでおり、森林保全、水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど幅広い分野でのプロジェクトを展開している。各地域の自然資源の特性に適したカーボンクレジット創出プロジェクトの開発を行うとともに、衛星データを活用した適地選定とモニタリングにより、効率的かつ透明性の高いプロジェクト運営を実現している。
特にベトナムにおいては、間断灌漑(AWD)を用いた水田のメタンガス削減プロジェクトを主力事業として推進しており、2024年8月にはベトナム支社を設立し、現在同国の22省との覚書(MOU)を締結し、プロジェクト開発を進めている。
また、東南アジア地域における持続可能な農業の推進および農業由来のカーボンクレジット創出に向けて、東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)傘下の東南アジア地域農学高等教育研究センター(SEARCA)とMOUを締結している。自然由来のカーボンクレジットのプロジェクト開発における協力を推進していくとともに、土壌炭素貯留を促進するカーボンファーミングにも注力している。
これらの実績を踏まえ、ベトナムでの農業分野における温室効果ガス排出量の削減と、土壌の健全性の向上を目的に、ベトナム子会社Green Carbon Japan Vietnam、VNUAおよびAGIとMOUを締結し、同プロジェクトを開始する運びとなった。同プロジェクトでは、窒素を固定する能力を持つ大豆をカバークロップとして活用することで、土壌の炭素貯留能力を高め、地力や土壌構造を改善し、化学肥料の使用量削減に貢献する。これにより、ベラ基準に準拠した拡張性のあるカーボンクレジット創出の基盤構築を目指していく。