ホーチミン市人民委員会は24日、農業農村開発省に対し、ブンタウ・ゴーコン防潮堤建設案件に不支持を表明する文書を送付した。農業農村開発省は今年1月に、同案件についてホーチミン市に意見を求めていた。25日付サイゴンタイムズ紙(電子版)が報じた。
(C)Saigon Times, ブンタウ・ゴーコン防潮堤イメージ |
同省は防潮堤建設の目的として、ホーチミン市全域の洪水・浸水の防止と海水の浸入防止、気候変動により将来海水面が上昇した場合のドンタップムオイ(メコンデルタ地方ドンタップ省)やゴーコン(メコンデルタ地方ティエンザン省)への海水の侵入防止などを挙げた。総建設費は66兆ドン(約2720億円)が予定されている。
これに対しホーチミン市人民委員会は、洪水や浸水の原因は上流の貯水湖からの放流、大潮、豪雨によるものと分析、防潮堤は自然の水の流れをかえって妨げることになり、洪水防止にならないと指摘した。また、同案件の対象地域内にあるカンゾー・マングローブ林は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)により2000年に生物圏保護区に指定されている。防潮堤を建設すれば、この地域の生態系への影響は避けられないとしている。
市人民委員会はこれらの分析に基づき、農業農村開発省に対し、2008年に政府に承認された同市の浸水防止水利計画を引き続き実施するよう提案した。
※最終更新:2012年12月29日11:53JST