ホーチミン市チョーライ病院によると、死後に人々を救うために臓器提供の意思登録者数が1万3000人以上に上っている。同病院は、この人道的な精神に感謝の意を示すとともに、この一つ一つが感動的で、気高い意志を持つ行為であると強調した。
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同病院は2014年6月17日に臓器移植コーディネート分野を開設し、同年10月28日に最初の臓器提供意思表示カード(ドナーカード)を発行。以降、登録者数は年々増加して、2019年12月9日時点で1万3025人となった。今年だけでも、親族を脳死や心臓疾患で亡くした計20世帯から臓器提供を受けた。
同病院ではスクリーニング審査を通してドナー4人から腎臓6例、肝臓2例、心臓1例、角膜8例を受け取り、迅速な移植に繋げ、17人の患者に命と光を与えた。臓器提供を受けた患者らの健康状態は現在も安定しているという。
2008年から現在までに、腎臓52例、肝臓8例、心臓6例、心肺1例、角膜34例の移植が行われた。その一つ一つの事例が感動的な物語を持つ。南中部高原地方ダクラク省出身のハー・ミン・ニャットさん(当時37歳)の例もその一つだ。1年前に交通事故で重傷を負った。南部メコンデルタ地方ロンアン省の総合病院に運ばれたが、脳の損傷が激しかったため、チョーライ病院に転送となった。
ニャットさんがチョーライ病院に運ばれた際、医師らは一命をとりとめるのは難しいとの判断を下した。数日後、父親のタムさんはチョーライ病院で働く知人から臓器移植の話を聞き、家族と話し合った結果、臓器移植の意思表示をすることに決めた。
タムさんは、「息子は若く、まだ妻子もいない身だ。息子の死を無意味にすることは、したくなかった。たとえ息子が助からなくても、彼の血肉の一部がこの世界で生き続けるならと思い、臓器移植に合意することにした。これは家族の総意でもある」と語った。
チョーライ病院は、ニャットさんから、肝臓、肺、腎臓、角膜の寄付を受け、このうち損傷していた角膜および受け取り先がなかった肺を除く全ての臓器移植手術を成功させた。
“与えることで生命を繋げたい”タムさん家族が抱いた希望は、ある日突然、大切な人を失ってしまった遺族たちの多くが共通して持つ望みでもある。