- 過去20年間で約191haのサンゴ礁焼失
- 2002~2016年のインフラ開発で125ha消失
- 保全努力も回復成果は非常に遅い
ベトナム・ロシア熱帯センターが発表した最新の研究によると、過去20年間で南中部地方カインホア省のニャチャン湾では約191haのサンゴ礁が失われている。
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調査面積の12%に相当する規模で、南中部地方の海洋生態系や、「世界で最も美しい湾」の一つとされるニャチャン湾の観光に深刻な警鐘を鳴らすものと言える。
160km2の範囲で行われたリモートセンシング画像と機械学習による分析で、ホンムン(Hon Mun)島、ホンモット(Hon Mot)島、ホンミエウ(Hon Mieu)島、ホンチェー(Hon Tre)島、ホンタム(Hon Tam)島周辺が最も深刻な損失を被っていることがわかっている。
特に、2002年から2016年にかけて行われた、港湾、沿岸道路、リゾートなどの沿岸でのインフラ開発により、125haのサンゴ礁が消失している。
このほか、陸上からの汚染、違法な水産資源の採取、オニヒトデの異常発生、海水温が30度を超えることによるサンゴの白化現象、過去20年間で計32回の台風など、様々な要因がサンゴの衰退に拍車をかけている。
ニャチャン湾管理委員会は、ホンムンエリアの封鎖、ベトナム科学技術研究所(VAST)傘下の海洋研究所(VNIO)とのサンゴ礁の調査・回復での協力、ボランティアによる生態系モニタリング、マングローブの再植林やサンゴの苗床づくりなど、数々の保全努力を行っているが、回復の成果は依然として非常に遅いのが現状だ。