- 充電サービスを提供するカフェが急増
- 正規の充電スタンドがニーズに対応できず
- 配車アプリのドライバーが増加が背景
ホーチミン市で、電動バイク向けの充電サービスを提供するカフェが急増している。この1年ほどで雨後の筍のように増えたのは、正規の充電スタンドがニーズにまったく対応しきれていないためだ。
![]() (C) thanhnien |
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電動バイクのドライバーへの取材やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によると、ホーチミン市内には現在、100か所以上の充電カフェがあるようだ。
1年ほど前から電動バイクでバイクタクシーの運転手をしているというフンさん(男性・39歳)は、1日に2回充電するという。1回目は住んでいるアパートで夜に、2回目はカフェで昼間に充電する。
フンさんは「環境問題はさておき、電動バイクの方が経済的です。ガソリンバイクなら100km走るのに約5万VND(約280円)かかりますが、電動バイクなら2万VND(約110円)ほどです。メンテナンスもブレーキやタイヤの交換くらいで、1回の充電で100〜120kmは走れます」と話す。
フンさんによると、現時点での電動バイクの唯一の欠点は「充電時間」だという。1回の充電に2〜3時間かかるため、バイクタクシーの仕事を始めた当初は、運転と休憩、充電のスケジュール調整に頭を悩ませた。
最初は、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)の充電スタンドがあるマンションやショッピングセンターで充電していたが、場所的に遠く、休憩できる場所もないため不便だった。その後、同業者から「充電カフェ」の存在を聞き、充電スタンド探しには苦労しなくなった。
「仕事中にバッテリー残量が20〜30%になると充電カフェを探してトイレに行ったり、食事や休憩をとったりしています」と話すアインさん(37歳)によると、充電カフェはサービスも多様で、急速充電なら待ち時間は2時間未満で済み、料金はバッテリー残量が50%以上なら2万VND(約110円)、50%未満なら3万VND(約170円)だという。
充電に3時間程度かかるが、急速充電よりも30%安い通常充電プランや、3万5000~5万5000VND(約200~310円)で水や軽食、ハンモックでの仮眠がセットになったプランなどもある。
宿泊施設的に運営する充電スタンドもあり、日・週・月単位での滞在や、エアコン付きかどうかなどを選ぶことができ、利用期間中は電動バイクの充電が無料でできる。
こういった充電カフェが急増している背景には、電動バイクを利用する配車アプリのドライバーが増加していることがある。これに対し、ベトナム全土では現在、15万基という広範な充電スタンド網を有するのはビンファストのみで、ホーチミン市内に限ればそれも600か所しかない。
あるカフェの店主は、「以前は飲み物しか売っていませんでしたが、あるとき、電動バイクのドライバーが充電させてほしいと頼んできて、お金を払ってくれたんです。それでこのサービスを始めようと思いました。ガソリンバイクなら数分の給油で出発してしまいますが、電動バイクは充電に時間がかかるので、充電カフェは将来的にもっと普及すると思います」と話した。