バクニン省:1000年の歴史ある養蚕村に伝統断絶の危機

2015/06/07 07:17 JST配信

 そんな農家の一つ、チュー・バン・バックさんの家は約25年間、シルク生産の全工程を守り続けてきたが、7年ほど前から繭を仕入れる方式に変えた。周囲の工業団地による環境汚染の影響か、品質の良い繭を生産できなくなったためだという。今は製品の出荷先を探すのに苦労しており、生産停止も考えている。

(C) vietnamplus
(C) vietnamplus

 ボングエット村落の養蚕農家は、近代的な設備に投資せず、手工業的な遅れた方法で生産してきた。そのため市場での製品の競争力が弱い。村落の若い世代は、この伝統工芸に背を向けており、伝統断絶の危機にひんしている。

 タムザン村人民委員会のレ・ダック・カイン副主席によると、ボングエットシルクの生産を維持するため、村は一部の銀行と協力して養蚕農家に対する低利融資制度を設けたり、イエンフォン郡の関連機関に製品の出荷先紹介を要請したりしている。

 しかし伝統を維持するには、養蚕農家の世代間で伝統文化とそれを守ろうとする情熱が受け継がれてゆくことが必要だ。さらに彼らが安心して生産できるように、行政が支援することも重要になる。もし積極的な対策を取らなければ、近い将来、ボングエットシルクは人々の記憶の中にしか残らなくなってしまうだろう。

前へ   1   2   次へ
[Vietnam plus,27/05/15 10:5,O]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ハノイ市ミーディン国家会議センターで3月28日から4月1日まで、第132回IPU(列国議会同盟)会議が開催さ...
 ハノイ市ハドン区の伝統工芸村バンフックで生産される「ハドン・シルク」または「バンフック・シルク」...

新着ニュース一覧

 海外市場調査や海外事業伴走支援などを手掛けるシンガポールのグローバルアングル(GLOBAL ANGLE)は、ハ...
 商工省によると、2025年におけるベトナムの輸出入総額は推定で約9200億USD(約144兆円)となり、過去最高...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ベトナム建設省は19日、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間鉄道建設事業の第1サブプロジェクトの着工式を...
 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロ...
 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社...
 軍事ウェブサイトのグローバル・ファイアパワー(Global Firepower=GFP)が発表した2025年版の世界軍事...
 ファム・ミン・チン首相は20日、ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)のレ・マイン・フン会長を...
 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、同社が開発を進めている西北...
 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は15日、ベトナムの新たなドローン産業団体であるベトナム低...
 電子機器・電気機械器具の製造・販売を手掛けるコーセル株式会社(富山県富山市)は、海外子会社(非連結...
 ベトナムで初となる軽量軌道交通(LRT)路線が19日、南部メコンデルタ地方アンザン省フーコック特区(島)...
 米国の調査機関World Population Review(WPR)が先般発表した
 ホーチミン市では現在、計1万8613台のタクシーが運行されており、このうち電気自動車(EV)が1万3124台で...
 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、「2025~2035年の外国語教育強化計画および2045年までのビジョン」...
トップページに戻る